進路相談にお答えするよ。進路と言っても高校とか大学ではなく就職の話だ。また、直接本人からではなく塾長先生経由。

 質問。
 「うちの塾の講師(大学生)が、このまま塾業界に残って先生を続けるか、学校の教員を目指すか悩んでいます。どのようにアドバイスをしてやればいいですか?」。

 なるほど。そういうことね。だったら簡単だ。
 答え。
 「両方やればいいじゃない」。

 世の中にはどっちか一つという選択の仕方だけじゃなく、両方っていう選択の仕方もあるんだよ。ちょっと欲張りだけど、二つやりたいことがあって、その両方ができたら一番いいじゃない。
 ラーメンも食いたいな。でもカツ丼も食いたいし。じゃあ両方お願いします。そのノリ。
 
 これから人生はますます長くなるぞ。人の一生と言うけど、昔に比べたらニ生分ぐらい生きるわけだよ。時間はたっぷりある。三つでも四つでも、やりたいことは全部やって人生を終えようじゃないか。

 ただ、同時に二つというのは難しいかもしれないから順番を決めよう。悩むんだったら、どっちを選びどっちを捨てようかじゃななく、どっちを先にしようか、だ。

 経験から言えば、先に学校の先生かな。
 学校の先生は、実は体力勝負なんだ。知力だけで務まると思うなよ。高校生ぐらいになると、「先生、勝負しようぜ」と、かけっこや腕力で戦いを挑んでくる。まあ、知力で勝てないのは分かりきってるからな。で、「上等じゃねえか」と受けて立ち、完膚なきまでに叩きのめしてやる。
 ということが出来るのはやはり若いうちなので、先攻は学校の先生。

 仮に10年やっても、まだ30代。大卒即なら15年やっても30代。まだまだ残りの人生の方が長いからね。で、そのまま続行するも良し、転職するも良し。

 一つの仕事に生涯をかける。これもまた美徳。これもまた幸せ。そういう生き方を選んでくれる人々から私たちは大きな恩恵を受ける。道一筋は否定されるものではない。
 そこはしっかり理解しておいてもらおう。
 その上で、迷ってるなら両方やってみなさい。どっちにしたって、人を育てる仕事なんだし。