6月5日に文部科学省から「『学びの保障』総合対策パッケージ(詳細版)」というのが出ている。学習の遅れを取り戻すための対応策である。実質13ページほどなのでご一読をお勧めするが、お時間のない方はそのダイジェスト版である「『学びの保障』総合対策パッケージ」をお読みになるといいだろう。
下に示したのはダイジェスト版の1ページ目に出てくる全体概要である。
これでだいたいの内容は分かる。
◆高校入試は出題範囲に配慮を
塾の先生方は高校入試について気になると思うが、このような考え方が示されている。
公立高校入試の実施者は各都道府県教育委員会であるから、文部科学省ができるのはお願いするところまでだ。だから「配慮を依頼」となっている。
が、その割には(工夫の例)として、「中3からの出題が適切な範囲や内容となるよう設定する」、「問題を選択できる出題方法とする」などと具体的に踏み込んでいる。
さあ、あとは都道府県教委がこれをどう判断するかだ。
指示・命令されているわけではないので独自に判断すればいいわけだが、都道府県民世論というものがある。仮に、範囲や内容について一切配慮せず従前どおりとした場合、「文科省から指示(じゃないんだけど)が出ているのに、なぜわが都道府県は配慮しないのだ」という反発が予想される。
以前に書いたように、個人的には、大きく範囲を削れば受験生の緊張感やモチベーションを低下させるので、少しだけ範囲を狭めればいいのではないかと考えている。
◆授業で出来ない分は家庭学習で
学習活動の重点化の部分も、塾の先生方には知ってもらったほうが良さそうだ。
授業時数が限られているので、授業では、学校でしか出来ない学習活動を重点的に行うようにと言っている。
「個人でも実施可能な学習活動の一部をICT等も活用して授業以外の場において行う」
「授業以外の場」?
つまり、家でやれということだろう。
重点化のイメージ例として、
「授業以外の場で言見文等を作成させる」(国語)
「練習問題の取り組みを限定し、宿題の添削を充実させる」(数学)
「実験結果の分析・考察のまとめを授業以外の場で作成させる」(理科)
といった内容が示されている(あくまでも例であるが)。
普通に読み取れば、宿題いっぱい出せということだ。実験は学校でしかできないが、実験レポートは家で書けるだろうというわけだ。
塾の先生は、ふだんでも学校の授業進度や課題・宿題の出具合なども把握しつつ指導しているが、これからは家でやって来いの部分が一段と増えそうなので、生徒がオーバーワークにならないように今まで以上に注意を払っていただこう。
◆行事はやるように
夏休み短縮や土曜授業、学習活動の重点化などにより授業の遅れを取り戻せれば、運動会や文化祭も実施できるだろうと言っている。修学旅行は入試を終えた3月実施もありうるとも言っている。
おいおい今さら何を言ってるんだ。
こんな事態に陥った原因は、あまりにも長い臨時休校にあるんだぜ。
とまあ、これは結果論的な部分もあるのでここで言っても始まらないが、これも以前言ったように生徒のメンタルを考えたら、行事や部活も可能な限りやってあげたほうがかえって勉強の効率も上がるので2学期には考えてもらいたい。
以上、主に塾の先生視点からポイントとなりそうな点について述べた。
学校の先生方には臨時休業の留意点などを示した「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」 を合わせて読むことをお勧めする。
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