本日は、埼玉県公立高校入試において、調査書の学習の記録の得点がどのように扱われているかを調べてみた。つまり、各学年の9教科の評定に、それぞれどのような重みを持たせているか、である。

 1年、2年よりも3年の評定に重みを持たせている学校が多いだろう。というのは改めて調べるまでもない。塾の先生方も「3年の成績が大事」と言い続けているはずだ。
 だから今日は、それについての裏付けデータを提供しようということだ。

※お詫びと訂正:以下、数値に誤りがあったため、公開翌日(9月13日)に加筆修正しました。申し訳ありません。

 調査事例は全日制高校173例である。
 学校数より多いのは、たとえば2つの学科を擁する学校が、学科により異なる選抜基準を設けている場合は2例とカウントしているためだ。
 より具体的に言えば、大宮光陵などは「1:1:3」は全学科(コース)共通だが、普通科・普通科外国語コース・美術科・音楽科・書道科は、実技のある無しや傾斜配点のある無しなどそれぞれ選抜基準が異なるので5例とカウントしている。

◆75%が「1:1:2」か「1:1:3」
 パターンは全部で8つある。
 以下、多い順。
 「1:1:2」 73例 42.2%
 「1:1:3」 52例 30.1%
 「1:2:3」 20例 11.6%
 「1:2:2」  9例  5.2%
 「2:2:3」  8例  4.6%
 「1:1:1」  7例  4.0%
 「1:2:4」  2例  1.2%
 「2:2:5」  2例  1.2%

 グラフにすると。
 

◆3年評定を特に重視するのは4パターン
 1年、2年は同等に見て、3年を特に重視するのは8パターン中4パターンある。
 3年の重みが大きい順に、
 「1:1:3」        52例 30.1%
 「2:2:5」(1:1:2.5)  2例  1.2%
 「1:1:2」        73例 42.2%
 「2:2:3」(1:1:1.5)  8例  4.6%
  合計           135例 78.0%
 ということで、80%近くが1・2年は同等で3年を特に重視することが分かった。

◆3年をより重視するが、2年も重視するのは2パターン
 「1:2:3」 20例  11.6%
 「1:2:4」  2例  1.2%
  合計    22例  12.7%
 この事例は、裏を返せば1年はあまり重視しないということでもある。

◆各学年をほぼ同等に見るのは2パターン
 「1:1:1」  7例 4.0%
 「1:2:2」  9例 5.2%
  合計     16例 9.2%
 「1:2:2」は、むしろ3年重視のパターンに入れるべきだったか。

 次に具体的な学校名を入れて見てみよう。
◆上位校は「1:1:2」に集中
 浦和・浦和一女・浦和西・大宮・川口北・川越・川越女子・熊谷女子・熊谷西・越ヶ谷・越谷北・所沢・和光国際・市立浦和・川口市立など。
 これら上位人気校を中心に、これが最も一般的なパターンと言えそうだ。1・2年に比べ3年を重視するが、それほど極端ではないケース。

◆所沢北・蕨は「1:1:3」
 3年を特に重視するパターンで、この事例は上の「1:1:2」に次いで多いのだが、上位校では所沢北、蕨だけが採用。あとは川越南、伊奈学園など。

◆微妙に調整「2:2:5」と「2:2:3」
 1・2年同等、3年重視の考え方は同じだが、微妙に調整しているのがこのパターン。
 熊谷の「2:2:5」は「1:1:2」と「1:1:3」の中間ということになる。
 「2:2:3」は8例だが、そのうち4例は芸術総合だから、学校数としては少ない。

◆「1:2:3」不動岡、「1:2:4」春日部
 学年が上がるごとに重みが増すパターン。
 「1:2:3」は不動岡・春日部女子・大宮北・松山など。
 「1:2:4」は春日部、所沢の2校のみ。1年に対し3年の重みが極端に重い事例である。

◆3学年同等「1:1:1」は主に専門高校
 「1:1:1」は、浦和工業・大宮工業・川口工業など専門高校が採用しているパターンだ。

 ということで、最後の「1:1:1」の7校7例を除けば、やはり3年重視なのである。という最初から分かっている結論に達した。

 が、それにしても「1:1:3」というのは、どうなんだろう。
 直近の学力を重くみるというのは理屈に合っていそうだし、3年で頑張れば、ばん回できるぞという勉強への動機付けにはなりそうだが、1・2年は昼寝しててもいいのかい。