多少なりともマスコミと取引関係にある私としては言いにくいのだが、まあ、こういう醜悪な見出しについては一言、言っておかねばなるまい。
 朝日新聞、12月18日付のニュース
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 「コロナ禍で休退学5千人超 大学生・院生、文科省が調査」

 見出しだけだと、コロナのせいで5千人も休学・退学したのかと、そいつは大変だ、と思ってしまいそうだ。
 というか、そこを狙っている。
 何も知らない人は5千人を大きな数字と捉えてしまうが、全国に800近い大学があって、毎年中退者が3万人、休学者が7万人、あわせて10万人の休退学が出ているのだからそれに比べれば大した数字ではない。
 
 記事の元になった一次資料は文部科学省のサイトにある。
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 「新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けた学生等に対する追加を含む経済的な支援及 び学びの継続への取組に関する留意点について(依頼)」

 これによると、
 全学生数に占める中途退学者の割合は、昨年が1.07%、今年が0.84%で、中退者は昨年より減っている
 学年1年生に限定すると、昨年が0.87%、今年が0.60%で、1年生の中退者も昨年より減っている

 休学者の方は、全体では昨年が2.39%、今年が2.15%で、これも昨年より減っている
 学生1年生では、昨年が0.82%、今年が0.81%で、これも僅かながら減っている

 これが、減ったというニュースにならないのが不思議だ。

 もちろん今年に限っては、休退学が新型コロナの影響と判明している学生もいて、それが中退者で0.03%、休学者で0.14%いるから、そのこと自体を報道するのは間違っていない。
 それにしても、この見出しは酷い。
 
 要するに文部科学省としては、バイト収入が減ったり、内定が取り消されて留年が余儀なくされた場合など、今後も引き続き学生支援策を講ずるという話をしているわけだ。
 たしかに記事本文を読むと、休退学の総数が減っていることも、文部科学省の施策についても触れてはいるが、一次資料を見ずに、ただこの記事見出しだけを見ると、とんでもない誤解をしてしまいそうだ。

 見出しって、読者を誤解させるためのもの?
 そうじゃないね。

 閲覧数増やしたい気持ちも分かるが、節度を守ってほしいものだ。