新年度が始まって2週目が終わろうとしている。
 年度当初は、始業式、入学式、離任式といった儀式があり、新入生歓迎の諸行事(部活紹介など)がありと大忙しだ。

 早く落ち着いて授業をやりたいと思っても、健康診断で中断されたりする。
 恥ずかしながら、健康診断が法律で定められた義務であることを知ったのは、教員になって数年経ってからだった。
 学校保健安全法だったか。
 いや、当時は学校保健法だったか。

 学校で行われていること全てに法や規則の裏付けがあるのだ。
 しっかり勉強しなさい。
 と、先輩の偉い先生に諭されるが、そんな時間あるか。

◆4月18日は全国学力テスト
 今週、小中学校では全国学力学習状況調査が行われた。
 基本、悉皆調査調査(しっかいちょうさ)である。
 国立公立だけでなく私立も含まれる。

 調査目的なら何も全員に受けさせなくても抽出で十分だろうと思うが、そうはならない。
 利権がらみなのだろうか。
 それとも文部科学省の深慮遠謀か。

 皆さんご存知の通り、この調査は民間に委託されている。
 むろん業者は競争入札で決定される。
 今年度事業を落札したのは、小学校が株式会社Z会、中学校が株式会社内田洋行である。
 過去にはベネッセコーポレーションなども落札し委託を受けている。

 落札額は、小学校が約14億円、中学校が約23億円である。
 詳細は文部科学省のサイトで確認できる。
 「令和5年度全国学力・学習状況調査を実施するための委託事業(小学校事業)」に関する委託先機関の決定等について
 「令和5年度全国学力・学習状況調査を実施するための委託事業(中学校事業)」に関する委託先機関の決定等について

 応札企業がそれぞれ1社というのが気になるところであるが、なぜそうなのかは私にはよく分からない。

 調査そのものは別に構わないだろう。
 この調査は通称「全国学テ」と呼ばれ、テストの部分だけがクローズアップされがちだが、児童生徒、学校それぞれに対し生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査も行われている。
 児童生徒の学習意欲や学習方法、学習環境、それに生活面についても調査が行われているので、個人的には調査結果を大いに参考にさせてもらっている。

 だが、繰り返すが、調査目的ならば抽出でも出来るし、その方が費用も節約できるのは明らかだ。
 にも関わらず、悉皆にこだわるのは、別の意図があるのだろう。
 それはおそらく、文部科学省が考える学力、あるいは文部科学省が望む学力の徹底だろう。
 そう考えれば、この調査が全国都道府県・市町村教育委員会と学校を巻き込んで行わなければならない理由が何となく見えてくる。

 一部では、都道府県単位で得点争いをしたり、学校間で競争したりということもあるようだ。
 そのために予習やリハーサルをしたりというニュースも聞こえてくる。

 国が一定の方向に教育を持って行こうとするのは、ある意味当然とも言えるわけだが、先生方にだって子供たちにはこういう力をつけさせたいという思いがそれぞれあるはずだ。
 別に、文部科学省や教育委員会に反旗を翻せなど言うつもりはないが、無邪気に得点争いしている様子が伝わってくると、大丈夫かよという気持ちになってくる。

 以上、私の守備範囲を超えたテーマなので認識違いもあるかもしれない。
 もう少し勉強の時間が必要だ。