今さらだが挨拶の話である。

 私は外部の教育関係者としてはよく学校に行く方だと思っている。
 取材して記事を書くのが仕事だから当然と言えば当然だ。
 授業を見に行く、部活を見に行く、行事を見に行く。

◆なぜ上位進学校の生徒は挨拶しないのか
 校内をグルグル回っていると大勢の生徒たちとすれ違う。
 皆よく挨拶してくれる。

 印象としては、学力とは関係ないようだ。
 むしろ学力上位のトップ進学校の方が挨拶はしてくれない。
 他人に無関心なのだろうか。

 上位校には生活指導(生徒指導)というものがない。
 人に出会ったら笑顔で挨拶するという習慣は、家庭教育や小中学校での指導である程度身に付いているが、高校入学はそんなことは誰からも教わっていない。
 する子はするし、しない子はしない。
 学校側も、そんなことは自分で判断しろという態度だ。
 先生にも挨拶しない人が多いが、それも自分の判断の結果だ。

 その点、中位校や私立高校などには、生活指導という分野があり、そのイロハのイに礼儀や挨拶というものがある。
 生徒たちは、先生の教えをよく守り、誰にでも気持ちよく挨拶する。
 先生方も、常日頃指導している立場上、率先して挨拶をする。

◆防犯上も挨拶は有効
 犯罪心理学の専門家ではない私が言っても信ぴょう性がないが、挨拶は防犯上も有効ではないかと考えている。
 学校の中で生徒でも先生でもない人に出会ったら、とりあえず「こんにちは」と挨拶しておく。
 その相手がもし窃盗目的の不審者であった場合、認識されたと考え、犯行を思いとどまるかもしれない。

 何かの工事に来ていた人や、視察などで来ていた人であれば、その学校に対する印象は良くなるはずだ。
 だから、知らない人には積極的に挨拶する。

 ただこれは、学校内という条件付きであって、学校周辺ということになると話は違ってくる。
 近所のお店の人や、駅員などはっきり分かっている人は別だが、それ以外の知らない人に挨拶すると危険かもしれない。

◆挨拶は最高のおもてなし
 夏休みに入り、高校では学校説明会が盛んに行われている。
 訪れた中学生やその保護者に対する最高のおもてなしは、挨拶だろう。
 夏休み中なので、登校しているのは部活の生徒や補講に来ている生徒に限られると思うが、一目でそれと分かる人たちが訪れているのであるから、迷わず挨拶する。
 それだけで学校に対する印象は大きく変わるだろう。

 せっかく訪れてくれた中学生親子に、好印象を持ってもらうため、いろいろお考えになっていると思うが、笑顔で挨拶が一番。
 マクドナルドが「スマイル0円」を打ち出しているのは、そこにサービスの本質があると考えてのことだろう。

 年配の、
 男性の、
 先生方は特にご注意いただきたい。