マスコミ業界には「ネタ枯れ」シーズンというのがある。
いつ頃かというと、今が正にその時期なのである。
突発的に大きな事件事故が起これば別だが、夏休みや冬休みのように人々が長期休暇に入ると社会全体の動きが止まり、結果ネタが枯れる。
と言って、今日はニュースお休み、新聞お休みというわけにはいかないから、何とかネタを探して紙面を埋めるのである。
そういうわけだから、学校広報を担当されている方は、「ネタ枯れ」シーズンは新聞やテレビに取り上げられやすいのだと覚えておこう。
明日から甲子園で全国高校野球選手権が開幕する。
お盆を挟んで17日間にわたる大会なのだが、この「お盆を挟んで」というところがミソで、この時期はマスコミにとって「夏枯れ」のピークである。
選手の健康面を考え、こんなクソ暑い時期にやらず、もっと涼しくなってからやればいいのにという声も聞かれるが、主催者・朝日新聞はたぶんそうはしないだろう。
お盆の時期だから、多くの観客が呼べるのである。
お盆の時期だから、他にニュースがなく注目を集めるのである。
お盆の時期だから、テレビを見る人が多く、さらに盛り上がるのである。
以上はマスコミの「ネタ枯れ」「夏枯れに」に関する話だが、学校広報担当者もホームページやSNSの「ネタ枯れ」に悩んでいるのではないだろうか。
説明会など生徒募集ネタだけ流していればいいや、という学校はそれほど悩まない。
部活ネタでいいや、という学校も悩まない。
だが、授業や学習活動の様子や、学校生活の様子も発信しようという学校にとって、この時期は「ネタ枯れ」に陥りやすい。
むろん夏休みだけでなく、普段でも今日は何もないな、今週は何もないな、ということもあるだろうが、夏休みは特にそうなりやすい。
ところが、この時期は、発信側の悩みとは裏腹に視聴される率が高まるのだ。
受験生は部活も引退し、時間的余裕が生まれる。
また、進学フェアや説明会等を経て、そろそろ真剣に学校選びを始めようかとなる。
そんな時期に、何も情報発信しないというのは、学校PRの重要な機会を逸していると言わざるを得ない。
と言うか、もったいない。
◆映像を撮ってから考える
そういう場合の裏技は、映像(動画や写真)を撮ってからタイトルや記事を考える方法だ。
●岩槻
この方法を採用してHP閲覧者やSNSフォロワーを増やしているのが、このブログで何回も取り上げている岩槻高校だ。
企画して(意図して)作っているものもたくさんあるようだが、特にネタがないときは、学校をぐるっと回って撮影し、それを凝った編集をせずBGM付きでそのまま流す。
結果、「今日の岩高」という定番シリーズが完成した。
今日の岩高【動画あり】 8月2日発信
学校を一周すれば、先生でも生徒でも誰かしらいるだろう。
「今日は何しに学校へ?」と尋ねれば、それがネタになる。
一種の取材活動だ。
それも無い時は、カメラを回しながらただ校内を歩き回る。
授業や生徒指導の合間を縫ってやるわけだから、それはそれで大変な作業だが、これなら「ネタ枯れ」に陥る心配がない。
「今日の〇〇高校」という手法は他の学校にも広がりを見せている。
●浦和一女
「今日の一女」(8月4日配信)
浦和一女である。まだ1本目だが定番にしてほしい。
この方法に慣れてきたら写真(静止画)を動画に置き換えるともっといい。
●春日部女子
春日部女子も「今日の〇〇高校」とは謳っていないが、日常風景を発信しようと試みている。
【動画】1分半でわかる夏休み中の春女
明治時代創立の伝統校だが、「浦高と一女」「川高と川女」「熊高と熊女」とは言われても、「春高(かすこう)と春女(かすじょ)」とは言われない。
いろいろ理由はあると思うが、たとえば一女も川女も熊女も今夏インターハイ出場選手がいるが、それがニュースになることはあっても、写真付きでHPのトップを飾ることはない。
それがこの学校ではトップにデカデカと出る。
まるで「うちは進学校ではありません」アピールをしているようだ。
が、朗報である。
今まで、この学校のHPはいきなり部活情報ばかり延々と見せられる構造になっていたが、ようやく「新着情報」がトップに来る構造に変わり、それとともに部活以外の情報も少しずつ増えてきた。
余談だが、私は今から15年ほど前、この学校のパンフレット制作に関わった。
思いっきり進学に振り切った内容だ。
まあ、こういう時期もあったということだ。
●杉戸
★動画あり★【8/3(水)の杉戸高校①】明日に向けて準備中①
どこかで書いたはずだが、この学校には教員研修会に呼ばれて行って来た。
たしかその時に動画配信の重要性について話したと思う。
そのせいかどうかは分からんが動画配信が増えてきた。
今は夏休みなので仕方ないが、この先は授業にスポットを当てた動画も増やして行くといいだろう。
公立の例だけ取り上げたが、日々のニュースを動画配信するという点での先駆者は花咲徳栄だろう。
桜が咲いたといっては花見がてら撮りに行き、、霧に包まれたといっては夢中になって撮影し、雪が降ったといっては校庭に飛び出す。
まずは動いてネタ探し。
先日、撮影から配信に至る一部始終を見る機会があったが、教室で撮影し、戻りながら編集し、「はい、今SNS配信しました」という早業。
と、まあ、これはちょっと大袈裟だが、慣れてくるとそれくらいのスピード感が出てくるということだ。
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