来月行われる「彩の国進学フェア」。
 このイベント、主たる対象は中学3年生であるが、以前から「中1・2年生や保護者のみの来場も大歓迎です」としている。
 その呼びかけが功を奏してか年々下級生の参加は増えている。
 昨年のフェア2日目は北辰さんのテスト日と重なったが、その割に午前中の人出が減らなかったのは、1・2年生が多かったためだろう。
 熱心な保護者は子供が1年のときも2年の時も来ていたりする。

 全体から見れば少数派であるが、学校選びに関しての始動が早い生徒・保護者はいるのである。

 さて、そのような人々を学校側はどう捉え、どのように対応しているかというのが今日の話だ。

◆かれらはメインの顧客である
 自校の説明会に関して。
 「結構、1・2年生も来るんですよね」
 こんな感覚の学校はないだろうか。
 つまり、「3年生を呼んでるのに、勝手に来ちゃった人々」というような感覚。
 もちろん「熱心な生徒・保護者」と肯定的には捉えているが、主役は3年生で、1・2年生はあくまでも脇役の扱い。
 説明の内容も、手渡す資料もすべて3年生向け。
 こちらとしてはメインのお客として呼んだわけではないので、それでいいのだが、さらに少子化が加速する将来を考えたとき、はたしてこれでいいのだろうか。
 そう思わざるを得ない。

 まだ1・2年生なのに早くも「わが校に興味を示してくれた生徒・保護者」である。
 これは絶対に取り込みたい顧客だ。
 だから、「来ちゃった」ではなく、「来るだろう」を前提にした対応を考えておいたほうがいい。
 かれらを「オマケ」や「ついで」の人たちとして扱ってはいけない。
 (そんな扱いをしている学校はないはずだが)

◆「来ちゃった」から「来てもらう」
 1・2年生から始動する生徒・保護者がいると分かったら、学校側も「来ちゃったお客」の感覚から脱することが必要だ。
 むしろ「来てもらう」ための仕掛けをする。
 幸いなことに、われわれが戦っている市場には、「3年生になるまで生徒を説明会に呼んではいけない」というルールはないのだ。
 もしかしたら入試市場の過熱化を心配する声があがり、規制が始まる可能性もなきにしもあらずだが、今のところは大丈夫だ。
 
 部活を引退した3年生夏休みから受験生を呼ぼうなどと考えている学校は、取り残されるだろう。