昨日、アナログとデジタルの話を書いた。
 その続きだ。

 今日紹介するのは、このICT教育全盛の時代に、まるで前世紀にタイムスリップしたかのような超アナログ授業を展開している先生である。

 こちらに授業を収録した動画がある。
 先生本人は超アナログなので動画を撮ろうという発想はないし、ましてYouTubeで配信しようなどとは夢にも思わない。そもそもそういう技を持っていない。

 よって、この動画は別の人間(ユーチューバー)が持ちかけ、自ら企画・制作(録画・編集)し、完成作品を学校に無償提供したものである。
 
 授業1コマ分なので全編見るには時間がかかる。世界史を教えている先生以外は、飛ばし飛ばしでいいだろう。
 パソコンもタブレットもプロジェクターも何も使わない、黒板とチョークだけの超アナログ20世紀的授業がこちら。

 世界地図を手書きするので時間がかかる。
 だから休み時間のうちから教室に行き描き始める。
 プロジェクター使えば一瞬だし、だいいち綺麗で正確だ。進度という点からも手書きの時間はもったいない。

 だが、この先生は手書きにこだわる。
 年齢的に電子機器の時代について行けなかったという面もあるかもしれないが、そんなものはちょっと頑張れば誰だってできる。
 やはり、このやり方が一番理解が深まり記憶にも残るという確信があるのだろう。実際、この学校の生徒は、たとえば大学共通テストの世界史は全国レベルの高得点をたたき出すのだという。
 だったら、このまま行こうぜ。

 なお、動画の最後にクレジットが出るが、出演は杉戸高校・田名網先生、編集制作は埼玉県高校入試系YouTuber「塾講師ノグジュン」氏である。

◆タブレット使わない大宮高校の授業
 話は変わって、先般、大宮高校の授業を見てきたときの話だ。
 教育関係者対象の学校説明会(いわゆる塾説)に行き、せっかくだから授業も見学してきた。
 ふだんはそういう見方はしないのだが、1年から3年まで全クラス(27クラス)の授業を見て回った。
 こういうのは授業を見たことになるのかどうか分からないが、県内最高峰に位置づけられる公立高校の授業というのはどんな雰囲気なのか、それを見ておきたいと思った。

 一番驚いたのは一つとしてタブレットを使った授業がなかったことだ。
 これは、たまたまということもあると思う。
 また授業中のどこかの場面では使っていたが、私が見たときは使っていなかった可能性もある。
 それにしても全部を見て回ったのだから、一つや二つはそういう授業があっても良さそうなものだ。

 プロジェクターを使っている先生はいた。
 なお、この学校の黒板はやたら横に長い。普通、黒板の両脇には掲示板があるものだが、教室の端から端まで全部黒板。
 ここに所狭しと書きまくる先生の多いこと。
 先生がそうだから生徒の方もノートに書きまくる。このスピードが尋常ではなく、そしてキレイ。書きまくってはいるが書き殴ってはいないのだ。
 
 おそらくタブレットなども使う時は使っているのだろう。そうじゃないと買わせた意味がない。
 ただ、タブレットありきの授業にはなっていない。そんな印象だ。

 先生はプロジェクターや電子黒板を駆使し、生徒はタブレットやクロムブックを使いこなす最先端の授業。
 それに比べると大宮高校の授業は1周か2周遅れているかに見える。
 が、生徒の実力は逆に1周も2周も先を行っている。これがアナログの力?

 再度言っておくが、デジタルは否定していない。そのうち先生の代わりに、先生そっくりのロボットが授業をやってくれる時代になるだろう。そうならなくてはおかしい。
 だが、昔から続く伝統の技をそう簡単に捨て去るのはどうかと言っている。デジタルとアナログの二刀流が最先端だろう。