大会が始まってから、それも1試合戦ってからの出場辞退とは前代未聞。
 夏の甲子園、広島県代表・広陵高校、2回戦を前に出場辞退。

 マスコミ各局のコメンテーターがこぞってこの話題を取り上げている。
 全部チェックするのは大変だが、別にそこまでの必要はないか。

 今回の問題はそこじゃないと言われると思うが、気になったことがある。
 監督のことだ。
 同校OBで監督歴は35年(年齢63歳)。
 甲子園出場は春夏合わせて23回。
 夏の優勝はないが春は2回優勝している。
 文句なしの実績。名指導者、大監督。
 (ちなみに、2017年、花咲徳栄が全国制覇した時の決勝の相手が広陵だった)
 
 この監督、マスコミ報道が確かなら副校長であり理事でもある。
 教育面でのナンバー2であると同時に、経営陣にも加わっている。
 同校・同学園における権力者だ。
 権力者がふさわしくないというなら実力者。
 野球指導における実績によってこの地位まで昇りつめたのだろう。

 そこまではいい。

 気になるのはその先だ。
 同校卒業生であり野球部の教え子でもある息子がコーチ兼部長であるということ。
 ということは普通に考えれば次期監督。
 ここまで来ると野球部の、あるいは学校の私物化。

 同校の知名度の大半は野球部の活躍によるものだろうし、野球がやりたくて入学してくる生徒も多いだろうから生徒募集面での貢献も大きい。
 そしてその実績を背景に監督が校内の実力者にのし上がる。
 こうなると、教員も学校関係者も、野球部のことに関しては誰も、何も言えなくなる。
 私立の部活強豪校にありがちな状況だ。
 仮にこうした状況が、今回の問題と深く関わっているとしたら、自校体制を見直さなければならない学校も多いだろう。

 もう一つ気になったこと。
 学校側は部員保護者に対して説明会を行った。
 これは当然のことだ。
 が、新聞報道等によれば、「保護者から質問や意見は出なかった」とのことである。
 親たちもショックで何も考えられない状態だったのかもしれないが、それにしても250人もの参加者が無言というのも不思議、というか、ある種不気味ではないか。
 そこも少しばかり引っかかった。