一昨日の記事、「『定員に達したので終了』でいいのか~学校説明会のマーケテイング~」はありがたいことにGoogleにも拾われ、ページビューは1万を超えた。普段の記事が1000~2000PV程度、少し跳ねても5000PVほどなので、私のブログとしてはかなり大きな反応である。
このブログが主たる読者として想定しているのは、埼玉県内の高校関係者、とりわけ管理職や募集広報担当者、それに塾関係者だ。しかし今回の数字を見ると、それだけではなかったのかもしれない。
受験生や保護者にも相当読まれた可能性がある。
もしそうだとすれば、「説明会に申し込もうとしたら満員だった」「参加したかったのに締め切られていた」という経験をした人が、思いのほか多かったということなのだろう。
受験生・保護者は学校を選ぶ側である。
しかし同時に、入試では学校から選抜される側でもある。
そのため学校に対する不満は、一般の商品やサービスに対する不満ほど表面化しにくい。
だからこそ、こうした「声なき声」を拾い上げることがマーケティングの仕事になる。
◆まずは杉戸高校の対応を見てみる
前記事でも取り上げたが、この問題を考えるうえで、杉戸高校の対応は一つの参考になる。
同校は第2回学校説明会について、当初予定の2倍を超える800人以上の申込みがあったと発表した。
そして定員を超えた後も、「1人でも多くの方を受け入れたい」と校内で工夫しながら受付を続けたという。
それでも安全な運営が難しくなる段階に達したため、やむを得ず受付を終了した。
ここまでは十分理解できる。
学校には「箱」の制約がある。
体育館や教室に無限に人を入れることはできない。
避難経路や動線の確保も必要だ。
さらに先生方の配置にも限界がある。
問題は、満員になった後どうするかである。
杉戸高校はそこで終わっていない。
「まだ杉戸高校を見たことがない」という人に対して、文化祭一般公開や次回学校説明会を利用してほしいと案内している。
これはかなり良い対応だと思う。
単に、「定員に達したため受付を終了します」とだけ告知するのではなく、「今回は入れないが、次の機会はこちらにある」と示している。
マーケティング的に言えば、顧客との接点を切らず、別ルートへ送っているわけだ。
◆「満員にしない努力」だけでは限界がある
理想を言えば、そもそも満員によるお断りを発生させない方がいい。
年間の開催回数を増やす。
1回当たりの定員を増やす。
午前・午後の2部制にする。
大きな会場を使う。
これらは重要な対策である。
ただし、多くは来年度以降の検討課題となる。
学校には年間行事予定がある。
土日は文化祭や体育祭、模試、部活動の大会などで埋まっている。
説明会を増やせば、当然、先生方の勤務の問題も出てくる。
「では来月もう1回増やそう」と簡単にはいかない。
だから今考えなければならないのは、「満員になってしまった後、どうするか」である。
◆「受付終了」の先にフォームを残す
前回も書いたが、大事なことなのでもう一度言う。
定員到達と同時に申込フォームを完全に閉じないほうがいい。
「参加申込」は終了しても、「追加開催・増枠があった場合の案内希望」というフォームを残す。
これは単なるキャンセル待ちとは少し違う。
キャンセル待ちは、誰かが辞退しなければ動かない。
しかし参加希望登録なら、学校はその人数を見て次の手を考えられる。
30人なのか。
100人なのか。
300人なのか。
この違いは大きい。
仮に800人で締め切った後に200人の登録があれば、本当の需要は少なくとも1000人だったことになる。
今年の対策にも使えるし、来年度の計画にも使える。
受付を閉じた瞬間、その先の需要が見えなくなる。
繰り返すが、これはマーケティング的には非常にもったいないのだ。
◆代替案は「案内」から「送客」へ
杉戸高校は文化祭と次回説明会を提示している。
これは良い。
ただ、さらに一歩進めるなら、代替案を知らせるだけでなく、実際に次のイベントへつなぐ仕組みが欲しい。
たとえば満席者向けに、「今回参加できなかった方へ」というページを用意する。
そこに、「文化祭一般公開」「次回学校説明会」「学校紹介動画」「個別相談」「部活動見学」などをまとめる。
そして「受付終了」の告知から直接そこへ誘導する。
つまり、「入れませんでした。残念でした」で終わらせず、「あなたには次の選択肢があります」と見せるのである。
商売の世界では当たり前のことである。
商品Aが売り切れたら、商品Bを勧める。
その考え方を学校に持ち込めばいい。
もちろん学校の場合、売るものは商品ではない。
学校を知る機会である。
◆ミニ説明会という手法を活用する
追加説明会というと、学校側はどうしても身構えてしまう。
校長挨拶から始まり、学校概要説明、入試説明、生徒発表、校内見学などを全部もう一度やるとなれば、確かに大変だ。
しかし追加開催は、同じ内容である必要はない。
「ミニ説明会」で十分である。
校長挨拶 5分
学校概要20分。
入試説明15分。
質疑応答10分。
合計50分。希望者のみ校内見学。
これなら担当者数人で回せるだろう。
しかも参加者側も、「急きょ用意してくれた追加開催」だと分かっている。
最初からフルスペックのサービスを求めてはいないのだ。いたとしても少数だろう。
むしろ、そこまでして受け入れてくれたという事実自体が学校への好印象につながる。
◆次回説明会への優先案内
今回満席で参加できなかった人に対して、次回説明会の受付開始をメールで知らせるのもいいだろう。
あるいは、一定枠を先に案内する。
学校なので公平性への配慮は当然必要だろう。
それでも、「前回参加できなかった方へ、次回受付開始を先行してお知らせします」程度なら許容範囲だろう。
一度申し込もうとした人は、その学校にかなり強い関心を持っている。
一般のマーケティングで言えば、非常に質の高い見込み客である。
その人をもう一度ゼロから集客し直す必要はない。
◆勝負は満員になってから
「満員御礼」は喜んでいい。
学校への関心が高まっている証拠だからだ。
しかし、満員になったところで仕事が終わるわけではない。
マーケテイング的には、むしろそこからが勝負だ。
あと何人来たかったのか。
その人たちをどこへ案内するか。
次にどうつなぐか。
そして来年度はどれだけの規模で実施すべきか。
そこまで考えて初めて、「満員」という数字が生きてくる。
満員になっても、一人も見込み客を失わない仕組み。
受付終了を「関係終了」にしない。
説明会に入れなかった人を、別の接点へ確実につなぐ。
学校広報が次に考えるべきなのは、そこだろう。

コメントを残す