秋の塾説シーズン到来。1学期ほどではないが9月に塾対象説明会を行う学校も多い。個人的には新聞取材と重なるため、多くの学校を訪れることはできないが、できる限り顔を出してみよう。
 今日は獨協埼玉中学・高校の塾対象説明会。

 入試関係の説明だけでなく、教育方針の説明にかなり時間を割いていたのが印象的だ。この学校は、私立によくある「特別進学」などのコース制がない。募集は単に「普通科」とあるだけ。公立ではこれが普通だが、県内私立では珍しく、同校が「公立っぽい」と言われる理由の一つはここにある。
 高校では、いわゆる内進生と高入生別クラスとなるが、これも1、2年までで、3年になると全部ひっくるめて文系・理系に再編成する。中高一貫生と高入生は最後まで混ざらない学校が多い中、これも異色だ。
 進学実績でしのぎを削る他校とは一線を画し、独自路線を貫く学校。それが同校の魅力なのだろう。

 教頭先生の説明にあった「リーダーを育てるのもいいが、うちは社会で役に立つ人間を育てるのだ」という言葉が印象に残った。
 すぐお隣の春日部共栄中学校が「この国で世界のリーダーを育てたい」という大上段に振りかぶったスローガンを掲げているが、それへの当てこすりか?
 まさか、そんなことはあるまいが、たしかに最近はリーダーとかグローバルリーダーという言葉があちらこちらから聞こえてくる。だから、そんなにリーダーばかりいたって仕方ないでしょうというのも分かるような気がする。

 私が高校時代に習った先生が、たしか似たことを言っていた。「お前らの中から、たった一人でも天才が現れたら、あとの連中はどうでもいい」。これを聞いた瞬間、私は自分自身をすぐさまどうでもいい連中に分類した。リーダー、あとは頼んだぜ。

 話を戻すが、リーダーシップに対しフォロワーシップという言い方がある。チームや組織のパフォーマンスを最大化するためには、リーダーシップとフォロワーシップの両立が求められる。フォロワーはただ後ろから付いて行く人ではない。リーダーとはまた別の能力を持ち、リーダーと共にチームや組織を支える人である。
 今日語られた「社会で役に立つ人間」というのは、そういう意味なんだろうと、私は勝手に解釈したわけである。

 オマケ。
 この学校の文化祭は「蛙鳴祭」という。蛙が鳴くだよ。まあ、周りは田んぼだからそうだろう。でも、何となくスマートな印象の「獨協」というイメージからは想像しにくいネーミングで、私は気に入っている。
 念のため、「蛙鳴祭」は「あめいさい」である。