進路希望状況調査について第3弾。今日は専門学科編である。専門学科と一口に言うが、かなり幅が広い。そこで歴史的経緯も踏まえて独自に分類してみる。
 1 職業系
 古くは明治・大正あるいは昭和戦前からあった職業系の専門学科である。農業・工業・商業・家庭などがこれにあたる。歴史的にはさほど古くないが専門性が高く職業に直結しているという意味で、とりあえず看護もここに含めておこう。
 2 進学系
 歴史は比較的新しく100%大学進学を想定した学科である。理数・外国語科がこれにあたる。
 3 特色系
 学校の特色化を図ろうという流れの中で作られた、これも歴史的には新しい学科である。美術・音楽・書道・体育・福祉・人文・国際文化・映像芸術・舞台芸術などがこれにあたる。美術と音楽は3校に、体育は2校にあるが、それ以外は特定の1校にしかないので、正に特色系と呼ぶにふさわしいのではないかと考える。

◆職業系専門学科の中には2倍超えの学校・学科も
 ではまず伝統的な専門学科である職業系の倍率。カッコ内は前年同期倍率である。
 ①農業 0.96倍(0.99倍)
 ②工業 0.96倍(0.97倍)
 ③商業 0.74倍(0.73倍)
 ④家庭 1.13倍(1.38倍)
 ⑤看護 1.51倍(1.78倍)
 商業が僅かに上がっているが、他はすべて前年同期を下回っている。

 倍率上位の学校を見てみる。カッコ内は前年同期。
 ①農業
 杉戸農業・生物生産技術2.00倍(2.08倍)
 杉戸農業・食品流通  1.95倍(1.30倍)
 熊谷農業・食品科学  1.43倍(1.75倍)
 ②工業
 熊谷工業・建築    2.13倍(1.28倍)
 川越工業・デザイン  2.08倍(1.60倍)
 川越工業・機械    1.85倍(1.62倍)
 越谷総合技術・情報技術1.80倍(1.93倍)
 川越工業・建築    1.75倍(2.48倍)
 川越工業・電気    1.65倍(1.75倍)
 春日部工業・機械   1.59倍(1.92倍)
 ③商業
 深谷商業・情報処理  1.26倍(1.31倍)
 上尾・商業      1.21倍(1.23倍)
 市立川越・情報処理  1.17倍(1.21倍)
 ④家庭
 越谷総合技術・食物調理1.68倍(2.79倍)
 鴻巣女子・保育    1.48倍(1.63倍)
 新座総合技術・食物調理1.30倍(1.58倍)
 ⑤看護
 常盤・看護      1.51倍(1.78倍)

 一般に職業系専門学科は人気がないと思われており、実際のところ全校平均では農業・工業・商業はいずれも1倍を切っているわけだが、学校ごと学科ごとに見てみると普通科よりはるかに高い倍率を示している例が多いことが分かる。
 農業・工業では2倍を超える学科があるが、商業は最高でも深谷商業の1.26倍である。他の職業系に比べ、専門性という点でやや劣るとみられているからだろう。
 定員に満たない学校が多い中、川越工業は5学科中4学科、春日部工業は3学科中2学科、熊谷工業は5学科中3学科、大宮工業は4学科中2学科、杉戸農業は6学科中3学科が定員を超えている。

◆人気に陰り?、進学系専門学科
 次に進学系の専門学科である。カッコ内は前年同期。
 ①外国語 1.13倍(1.36倍)
 ②理数  1.43倍(1.53倍)
 どちらも前年同期を下回っているが、外国語科が大きく下がっている。

 数が少ないので全校見てみる。
 ①外国語
 和光国際  1.56倍(1.61倍)
 蕨     1.28倍(0.88倍)
 南稜    1.20倍(1.53倍)
 草加南   1.05倍(1.00倍)
 越谷南   1.00倍(1.28倍)
 不動岡   0.98倍(2.13倍)
 春日部女子 0.85倍(0.85倍)
 坂戸    0.70倍(1.40倍)
 ②理数
 大宮北   2.38倍(1.78倍)
 大宮    1.73倍(2.43倍)
 熊谷西   1.30倍(1.08倍)
 川口市立  1.30倍(1.80倍)
 越谷北   1.18倍(0.93倍)
 所沢北   1.08倍(1.25倍)
 松山    1.03倍(1.43倍)

 外国語は、唯一2クラス80人募集(他は1クラス40人)である和光国際だけが1.5倍超えで、他は軒並み低倍率で3校が定員を満たしていない。和光国際にとって外国語科は学校の看板であり、人気も保っているが、他校はすでに不動岡が外国語科廃止の方向で動いているように、いずれ普通科に吸収される形となるのではないか。
 授業は全教科英語で行うとか、全員に最低1年間の海外留学を課すとか、そこまで徹底すれば存続の意味はある。
 理数は、私立で言う理数特進的なイメージもあるためか、外国語に比べれば高めの倍率が出ている。ただこれも大宮・所沢・川口市立・大宮北など学校自体の人気に支えられている面もある。落ちても第二希望で普通科に拾われる可能性があるという受験戦略的な意味合いで受ける生徒も多いだろう。学科としての将来性は外国語同様、決して明るいとは言えない。数学は得点5倍とか、もっと極端な傾斜配点を実施すれば異才が集まるかもしれない。

 特色系専門学科にも触れなければならないが、申し訳ない体力が尽きた。今度にする。