埼玉県内私立高校入試まで約2週間というタイミングで緊急事態宣言が再発令される。しかし、昨日も書いた通り学校は休校にもならないし、入試も予定通り行われる。
 ただ、面接についてはかなり前から気になっていて、個別の学校から意見を求められた際には「選抜に大きな支障がないならば中止の方向で検討されたらいかがか」と答えてきた。
 
◆面接自体の感染リスクは低い
 通常、面接が10分を超えるケースは少なく、それ自体に感染リスクがあるとは考えられない。
 ただ、「受験生は元気よく大きな声でしっかり話す」のが面接の基本であるから、教室で黙って受ける筆記試験とは別の対策が必要になる。
 面接官と受験者の間、また受験者と受験者の間にアクリル板などを設置する必要があるかもしれない。
 念には念を入れるなら、グループが入れ替わるごとにアルコール消毒をしたほうがいいかもしれない。

 筆記試験は午前中で終わり、午後が面接になるから昼食持参となる。
 ここで受験生が大騒ぎするとは思えないが、昼食時も含めた待ち時間対策を取る必要があるだろう。
 当然、教室ごとに監督を置くことになるだろう。

 もっとも、入試当日のこの程度の行動で感染が広がるようなら、とっくの昔に中学校や高校で感染爆発が起こっているはずだ。
 が、そうなっていないところをみると、黙って試験を受けて、黙々と昼飯を食って、静かに待って、マスク越しにちょっと声を出してくらいで感染が広がるとも思えない。
 
 今年の入試は「安心・安全」がキーワードと春先からずっと言い続けてきたが、間違っても試験を受けに行ってコロナをもらってくるようなことがあってはならないから、もし面接を実施するのであれば「安心して受けに来てください」と言えるような対策だけはとっておく必要がある。
 公立では無理そうだが、私立では机一つ一つに飛沫防止パーテーションを設置している学校もある。
 
 
◆面接はそれほど重要な選抜資料なのか
 もう一つ考えなければいけないのは、その学校にとって面接がどれほど重要な選抜資料なのかということである。
 準備に時間とコストをかけても、また、極端に言えば感染リスクを冒してでも、必要不可欠ということであれば、困難を乗り越えて断固実施すべきだろう。

 しかし実際のところ、今の埼玉県私立入試では、ほとんどの受験生が説明会や相談会において事実上の面接を受けているのである。
 もし面接が理由で不合格にするのであれば、相談の時点で見込みがない(低い)ことを言ってやるべきである。
 中には、説明会や相談会に一度も訪れず受けに来る受験生もいるから、その場合は面接で見てみたいというのは分かる。
 が、そのために「大丈夫、安心して受けてください」と宣言した受験生に、改めて形式的な面接を受けさせるのは時間の無駄である。

 公立が面接を実施する場合、あらかじめ選抜基準に得点まで明記している。
 調査書や学検点と同等に近い面接得点を与えている学校もある。
 はたして私立の場合、ここまで面接に重みを持たせているのだろうか。
 もし、それほどでもないとしたら、今年の場合は特に、実施に要するコストと得られる成果とのバランスが悪すぎる。
 
◆面接試験の全部または一部を取りやめた学校
 各校ホームページを閲覧したところ、当初面接を組み入れていながら12月になって中止と決めた学校が11校確認できた。

開智高等部
春日部共栄
埼玉栄
栄北
城西川越
正智深谷
西武台※併願は中止、単願は実施
聖望学園
獨協埼玉
花咲徳栄
山村国際

 浦和実業学園、大妻嵐山、大宮開成、東京農大三、山村学園は募集要項に「面接」が記載されていない。
 それ以外の学校は、単願希望者だけ、特定のコース希望者だけといった限定はあるものの予定通り面接を実施するものと思われる。
 十分な対策を取っている、対象となる受験生が少ない、短時間で終了できるなど、それぞれの事情で判断されたのであろう。

 一人の感染者も出ないことを祈る。