突然の制服関連記事。しかも堂々の一面トップ。むろん全国紙ではなく埼玉新聞の話である。
女子の制服にスラックス、埼玉の公立高校で導入増 防寒や多様性への対応に 同窓会などから反発の声も
上はネットニュースだが、紙面ではこのように一面トップを飾っている。
よほどネタがなかったのか。
それとも先週、川崎市の小学校における体育授業時の下着禁止がそれなりに大きく報道されたので、その影響でもあったのか。いや、それはないな。
そうじゃなくて、新入学時期が近づき、制服への関心が高まっている頃と見こんだのだろう。
いずれにしても日曜日の記事としては平和で結構。
記事中、「性的少数者」というワードが3回、「LGBT」が3回、「性的多様性(多様性)」が4回が登場する。
なるほど。話をそっち方向に持って行きたいわけだ。
いくつかのコメントが載っている。
ちゃんと取材した証拠だ。
県教育局担当者
「(スラックス制服は)年々増えている印象がある」
常盤女子高・山田直子校長
「時代の変化や近年の気候変動、生徒のニーズなどにはできるだけ対応している」
同校1年女子
「自転車通学に切り替え、寒さ対策として購入した」
「掃除などの場面でも動きやすい」
浦和北高・2年女子
「学校を選ぶのに、制服にスラックスがあることを考慮した面もある」
八木橋百貨店
「購入者は次第に増加している」
2018年時点で、男子校と制服なしの学校を除く129校(全139校)のうち女子生徒用スラックスを導入している学校は57校だというから、徐々に広がっているのは事実だ。
だが、町でスラックス姿の女子高生はそれほど見かけないから、制度的にはOKだとしても実際の着用はそれほど多くないのが実情だろう。
記事ではそのことも伝えている。
で、記事のまとめは。
制服を取り扱う業者
「同窓会などからの反発の声があがり、導入に至らない高校もあったようだ」
「性的少数者などへの配慮も進めてほしいとの声が保護者などから寄せられたため、早い段階から導入した高校もある」
性的多様性の受容を推進する「レインボーさいたまの会」代表
「性的多様性を考える大きなきっかけになる」
前半の高校の先生や生徒の声からは、LGBTだとか性的多様性という発言は聞かれない。
どちらかというと機能性が評価されている。
だが、記事後半では、謎の業者発言や市民団体の発言を加えることにより、スラックス制服導入問題と性的多様性問題をやや強引に結びつけようとしている印象だ。
スラックスは自転車通学が多い現状を考えると安全面でいいかもしれない。
体験はないが、冬の寒さ対策として有効かもしれない。
コーディネートを楽しめるというのも時代に合っているかもしれない。
ただ、下をスラックスにしたら、上も替えないとカッコ悪い。
となると、保護者の金銭的負担が重くなる可能性もある。
バリエーション豊富なのは痛し痒しだ。
いや、その前に。
そもそも制服が必要なのか。
なくてもいいんじゃないか。現にない学校もある。
いや、かえってあったほうが便利だし経済的。
それに痴漢や盗撮など性犯罪防止に効果があるかもしれない。
と、制服をめぐる問題はさまざまあるわけで、何も今ここで無理して性的多様性問題に結び付ける必要もあるまい。
それはそれで別にちゃんと議論すればいい。
ちなみに、女子で一番の伝統校・浦和一女の通学風景は毎朝見ているが、かなり前からスラックスが導入されているようで、冬場は時折スラックス姿を見かける。
上着とのバランスがビミョーだけど。
なので、「同窓会などからの反発で」というのはここじゃない。
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