大野元裕・埼玉県知事が、わいせつ教員問題で教員免許法改正などを萩生田光一文部科学大臣に要望。
 新聞記事はこちら。
 わいせつ教員問題、文科相に「厳正な対応」要望…埼玉知事(読売新聞)

 埼玉県公式サイト「県政ニュース」にも掲載されている。
 わいせつ行為を行った教員への厳正な対応に関する要望をしました(県政ニュース)

 要望内容は、
 1 わいせつ行為により懲戒免職処分を受けた教員を二度と教壇に立たせないための方策として、教育職員免許法の改正を行うこと
 2 学校において子供に対するわいせつ行為が行われないよう、教員の採用に当たって性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討するなど、関係省庁と連携した取組を推進し、必要な環境整備を図ること

 仰ることはその通り。
 100%賛同。
 ただし、この話、すでにその方向で動き始めている。
 教育職員免許法改正については中央教育審議会でも議論が始まっているし、わいせつ教員の処分歴についても官報での掲載方法が改められた。
 その意味では、先んじて問題提起したというより、今の世論の流れに乗っただけとも見える。
 なぜこれがニュースになるのか分からない。

 わいせつ行為で懲戒免職処分を受けた教員を二度と教壇に立たせない。
 これには法改正が必要だ。
 現行法では、免許が失効しても3年経てば再取得できるから、これを改めなければならない。

 免許状がなければ、そもそも採用試験が受けられないから、法改正すれば、わいせつ処分歴がある教員をシャットアウトできる。

 ただこれは、復帰(カムバック)の話である。
 そのような傾向がある者を最初の採用段階で防ぐことを考えなければならない。
 が、現実問題として、これは難しい。
 
 わいせつ行為で処分される教員には40代、50代の者もいる。
 20年後、30年後にわいせつ行為を行いそうかどうかをどうやって見破るのか。
 ほとんど不可能だ。

 採用時に防げないとすれば、採用後にわいせつ行為に及ばないための手立てを考えなければならない。
 上司からの指導や研修などで防げるなら、とっくに根絶されている。
 それらも必要だが、それだけでは無理なのだ。

 教員本人だけを考えれば、懲戒免職にし、免許を二度と取れないようにし、顔写真付きで実名報道するぐらいにしてやれば、それが一定の抑止力にはなるだろう。
 「人生終わるぞ」というわけだ。
 だが、被害者側の児童生徒及びその家族が、あまり大っぴらになることを望まない場合もあるだろう。
 被害に遭った上に、報道などでいつまでも取り上げられるのは二重の苦痛になる可能性がある。
 また、犯罪者は二度と社会復帰できないという世の中でいいのかということも別途考えなければならない。

 わいせつ教員問題は本ブログでも2か月前に取り上げたばかりだ。
 最近ニュースで目立つ「わいせつ教員」について調べてみた(2021年2月10日)

 そこでも書いたが、統計上、わいせつ行為は勤務時間外に学校外で行われているケースが多い
 上司の指導・監督や同僚のチェックが及ばない時間と場所であることが問題解決を難しくしている。

 そこで、順番として勤務時間内、学校内での根絶をはかることをまず考える
 問題の部分解決に過ぎないのだが、ここから始めるしかない。
 その点を児童生徒や保護者、さらには世間にも納得してもらう。

 意識だけで解決困難なことは、システムで解決をめざす
 このことは本ブログでも再三述べていることだ。

 教室を密室にしない。
 校内に死角を作らない。
 最初に異変に気付くのは間違いなく児童生徒であるから、かれらからの情報が自然な形で速やかに伝わってくるようなコミュニケーションを確立する。
 教員相互が良い意味で干渉しあう体制を作る。
 など。

 この問題。現場の先生方の情報を集めながら、さらに考えていきたい。