昨日の雑談記事の中でもちょっと触れたが、世は「体験型」ブームなのである。
 なぜそうなったか。
 その場に行かなくても情報が得られる時代になったからである。

 よって学校説明会などの入試・募集関連イベントも、「体験型」中心に移行するだろう。
 私の残された人生はそれほど長くないので、今のうちに言っておく。断言しておく。
 何年先かは分からないが、いずれ皆さんは「そう言えば、U氏がいずれこうなると予言していたけど、本当になりましたね」と言うことになるはずだ。
 
 よくある学校説明会のメニュー。
 1 校長挨拶
 2 学校概要説明(教頭)
 3 入試説明(募集担当)
 4 進路説明(進路主任)
 5 生徒による説明(生徒会長)
 あと、合間に代表的部活の演技・演奏

 これはもう伝統芸能の世界だ。
 20世紀にすでにこの形はあった。
 その意味で伝統芸だ。
 ここに体験の要素は一つもない。
 参加者は、ただただ聞く一方。
 まあ、どれを取っても、ネットで流しておけば済む話だというのに。

 自他ともに認める伝統校が、この先も伝統に沿ったやり方を崩さないというなら、それはそれでいい。
 だが、最新だの最先端だの未来志向を謳い文句にしている学校が、ネットもスマホもYouTubeもSNSも未発達だった時代のやり方を踏襲しているのは、信じ難い。
 
 現状でも部活体験は盛んに行わている。
 部活中心で志望校選びをしようという生徒には貴重な体験の場となるだろう。
 授業体験は一部の学校で行われているが、授業公開・授業見学にとどまっている学校が多い。

 専門高校や専門学科では、実習・実技体験が行われているが、これをもっと盛んにしなければならない。
 体験型中心に移行しやすいのはこうした学校、学科たちだ。

 問題は普通科だ。
 説明オンリーで体験要素なし。

 「とにかく楽しい学校」をアピールしたいなら、楽しい体験をさせないと。
 「食堂のメニューが豊富」が自慢なら、食わせないと。
 「ICT教育」が売りなら、やらせてみないと。
 「制服がおしゃれ」がセールスポイントなら、着させないと。
 (京都で、浴衣で歩いてる外国人をいっぱい見たぞ)

 でっかい体育館で、「わが校は少人数教育を実施しています」と声を大にしたところで、一体何が伝わるというのだ。
 こいつはブラックジョークなのか。

 実はこうした体験型の重要性に気づいているらしい学校も少ないながら存在する。
 ある学校(私立)は、新規に体験学習を設定したところ、1日1回の予定を2回に増やしたが、それでも足らず急きょ追加回を設定した。
 まだ実際に見に行っていないので、この目で確かめてから詳しく報告しようと思うが、体験型へのニーズが確実にあるということだ。

 繰り返すが、伝統的なやり方にこだわる学校があってもいい。
 それで取りたいレベルの生徒が取りたいだけ取れるなら、私ごときがギャアギャア騒ぎ立てる必要はない。

 だが、いろいろな意味で挑戦者的立場にあると自覚する学校は、生徒たちにいつも求めているはずの「チャレンジ」を自ら実践して欲しいと思っている。