夏休み明けの9月は高校文化祭のシーズンである。
 初夏に実施する学校もあるが、多くは秋だ。
 普通科高校は9月がほとんどだが、就職試験シーズンと重なる専門高校は10月から11月の実施が多い。

 文化祭は学習指導要領において特別活動のうちの学校行事に位置づけられている。
 さらに言えば、学校行事の中の文化的行事とされている。

 学習指導要領そのものには文化祭という言葉は登場しないが、文化的行事は「平素の学習活動の成果を発表し、その向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと」と説明されているので、実施の根拠はここにある。
 ただ、文化祭は、それ自体を実施せずとも、他に求める成果が期待できる行事があれば、それでも構わない。
 今はどうか調べていないので、はっきりと言えないが、2年に1回とか、3年に1回という学校もあったはずだ。

◆文化祭で普段の姿が見られるか
 学校選びのために文化祭を見に行った方が良いと言う人がいる。
 文化祭ではその学校の生徒の、普段の姿が見られるからだという。

 だが、教員的視点からは、文化祭はむしろ生徒の普段とは違う姿を見られる機会である。
 へえ、この子、絵の(書の)才能があったんだ、バンドやってたんだから、この二人付き合ってたんだまで、いろいろな発見がある。
 そういう意味で、文化祭の姿は普段の姿ではない。

 年にたった1日か2日の特別な日の姿が、日常的な姿であるはずがない。
 だから、文化祭は普段の姿を見る機会ではなく、普段とは異なる姿を見る機会である。

◆それでも見に行く価値はある 
 じゃあ見にっても参考にならないかと言うと、そうでもない。
 今言ったように、生徒のさまざまな面を垣間見ることができるのだ。
 
 くそ真面目でお堅い学校と思っていたが、そうじゃない一面もあるのだと知るかもしれない。
 逆に活気のない暗い学校と思っていたが、明るく楽しい一面もあるのだとイメージが変わるかもしれない。

 非日常的な場面であるが、その雰囲気は学校ごと異なっている。
 普段の姿ではないが、比べてみれば、学校の個性のようなものは感じ取れるだろう。
 だから、学校選びの一環として文化祭を見に行くことには意味があると思う。

 時々、どこをどう見るかのチェックポイントなどを教えている人がいる。
 だが私は、役所の調査員じゃあるまいし、そこまでは必要ないと思う。
 文化祭というお祭りなのだから、一緒になって楽しんで来い。
 それでいいと思う。