紙媒体(新聞や雑誌)の世界には「ペイドパブリシティ(略称ペイドパブ)」という用語がある。
 他の言い方なら「「記事広告」、「記事体広告」、「タイアップ」。
 一般記事の体裁をとっているが、実はクライアント(広告主)からお金をいただいているれっきとした広告だ。
 読者を惑わせないため、どこかに「広告」とか「PR」という言葉を入れるのが習わしだがたいていは小さく書いてある。
 
 もちろんテレビでも同様の手法があるが、長くなりそうなので別の機会に譲る。

 では、YouTubeやSNSの世界ではどうか。
 これが今日の主題だ。

◆ステマと案件 
 YouTubeやSNSを見ていると時々「企業案件」(あるいは単に「案件」)という語に出くわすことがある。
 ユーチューバーやインスタグラマーと言われる人々が、企業からギャラを貰って商品やサービスを紹介する。
 その場合、先のペイドパブと同様、「プロモーションを含みます」と表示したり、動画の中でも「案件」であることを明言する。
 背後でお金が動いているのにそれを隠して(広告であることを隠して)商品やサービスを紹介するのは「ステルスマーケティング」などと言われ、法規制(景品表示法)の対象となる。
 なお、一般人がお金も貰っていないのに、買って良かった、行って良かったなどと紹介するのは自由である。勝手にやってなさい。

◆インフルエンサーマーケティングとは
 では、企業は「案件」を誰に依頼するか。
 インフルエンサーと呼ばれる人たちである。

 この間、真顔で病人のことかと聞いてきた年寄りがいたが、インフルエンサーはある世界、特定の分野で影響力のある人である。
 どの世界、どんな分野にも、知識豊富な人はいるものである。
 そういう人に数万から数十万、ときには数百万を支払い動画などの中で商品紹介してもらえば一気に売り上げが伸びる。
 これがインフルエンサーマーケティング。
 昔はなかったネット社会ならではの手法だ。

◆インフルエンサーマーケテイングのメリット
 インフルエンサーマーケティングのメリットはいくつか考えられる。
 ●ターゲットを絞りやすい
 ●広告臭さが少なく視聴者が受け入れやすい
 ●SNSによる拡散が期待できる
 ●データ取得できるので効果測定が可能
 などが主なところだろう。

 費用算出の根拠になるのは通常はフォロワー数である。
 企業から依頼があるのは少なくとも万単位あるいは十万単位のフォロワーがある人だと言われている。
 フォロワー数×2~3円といった感じらしいが、知り合いにそういう人がいないので詳しくは分からない。
 今はインフルエンサーを紹介するビジネスもあるらしい。

◆学校によるインフルエンサーマーケティング
 学校によるインフルエンサーマーケティングが成立し得るかどうか。
 ただいま研究中といったところだが、今やありとあらゆる商品・サービス分野で用いられている手法であるから、学校では無理ということはないだろう。
 問題はインフルエンサーと言えるような人がいるかどうかだ。
 また、そもそもそのポジションを目指そうという人がいるかどうかだ。

 私がもっと若かったら、ひょっとしたら目指したかもしれない。
 が、年を取り過ぎた。

◆疑似インフルエンサーマーケテイング
 お金のやり取りはないので正確にはインフルエンサーマーケテイングとは言えないが、それに近い手法を取っていると思われる学校がある。
 学校が直接中学生や保護者に情報発信するだけでなく、間に「インフルエンサーっぽい人」を挟むことによって拡散を図る。
 
 自分の経験で言うと、私がこのブログである学校を取り上げるのは、ある意味「インフルエンサーっぽい」役割を果たしていると言える。
 まあ、せいぜいが数百、数千のレベルだが、これにより学校と直接つながっていない人たちに情報が伝わる。
 そして、それをすぐさま「梅野ブログで紹介されました」と自校ホームページで伝えると、そこから私のブログにやって来る。
 このやり取りはお互いにフォロワーやファンを増やすことにつながっている。

 インフルエンサーとまでは行かなくても、学校情報を独自の視点で発信してくれる第三者を活用するのも、これからの学校広報のやり方の一つではないか。
 名付けて「疑似インフルエンサーマーケティング」。

 最後にPR(と明確に断りを入れておく)。
 私が講演を行う会を、お金も払っていないのに自主的に広めてようとしてくれた人。