大宮工業高校の新校説明会に行ってきた。
同校の場合、新校説明会は1月、2月、3月に各1回開催されるが今日はその初回である。
◆工業高校から進学校へ
今回の説明会に参加して、塾の先生や中学校の先生にとって大宮工業新校に関する情報収集は必須であると感じた。
令和8年度、統廃合により6つの新校が誕生するが、変容の度合という点ではここが一番だろう。
これまで本県になかったまったく新しいタイプの高校づくりを目指している。
今日の説明会でも、冒頭、「大学進学を目指す学校(進学校)を目指す」との宣言があった。
単なる工業高校のリニューアル程度に考えていると、塾生や保護者をミスリードしてしまう恐れもある。
年度内にあと2回のチャンスがあるので、是非直接訪ねて情報を入手していただきたい。
◆ライバルは理数科
説明を聞いて私が最初にイメージしたのは「高専(高等専門学校)」である。
高校とは校種も修業年限も異なるので単純に比較できるものではないが、学力レベル的には少なくともそのあたりを想定しているのではないかと感じた。
本県には国立高専がないが、北部・東部地区の塾長さんは、群馬高専や小山高専あたりに生徒を送り出していると思われる。私はその分野に疎いが、これらはおそらく偏差値的には60オーバーだろう。
もう一つイメージしたのが理数科だ。
理数科もまた分類上は専門学科である。
大学進学を目指す専門学科には前例があるのだ。
とすれば新校は、大宮・理数科や大宮北・理数科と同じカテゴリーの学校と考えることもできる。
◆初の情報サイエンス科
学科は「情報サイエンス科」「ロボット工学科」「建築デザイン工学科」「機械工学科」「電気工学科」の5科体制。
「情報サイエンス科」「ロボット工学科」は本県初の学科。
「建築デザイン工学科」は現在の建築科が母体となるが、インテリアデザインなども学べるので女子人気も高まりそうだ。
「電気工学科」は現在の電気科が母体となるが、電気工事士などの資格取得よりも、エネルギー問題や環境問題の探究に重きをおく。
「機械工学科」は現在の機械科が母体となるが、構造力学や流体力学を学び航空宇宙分野の人材育成を目指す。
いずれの学科も主たる進路は大学を想定している。
◆SSH指定校へ
新校開校後となるが、工業系初のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校を目指す。
現在、本県では浦和一女、川越女子、春日部、熊谷西、越谷北、松山、所沢北がSSH指定校になっているが、この列に加わろうということだ。
なお現状の大宮工業は文部科学省からマイスターハイスクールの指定を受けている。
◆新校名は2月決定
校名を変更するには条例改正が必要だ。
埼玉県議会2月定例会は令和7年2月20日に開会されるので、2月下旬には新校名も明らかになるだろう。
関係者の間ではほぼ決定事項として共有されていると思われる。
新校の基本方針から考えて校名から「工業」は消えるのは確実だ。
形式的には大宮工業と浦和工業の統合だが、企業合併における存続会社に相当するのは大宮工業であるから、「大宮」の名を残すだろう。
あとは東京工業大学が東京科学大学に変えたように「工業」を「科学」とするかどうか。
「科学」を冠する高校としては秩父農工科学高校がすでにある。
それに倣えば、情報科学高校となる。
横浜サイエンスフロンティア(横浜市立・理数科)のように思い切ってカタカナで行く手もある。
いずれにしても、脱工業高校がはっきり伝わる校名がいい。
以下、余談。
今日の参加者の中には女子中学生も数人いた。
説明の後の質疑応答で「女子用の設備は」という質問があった。
学校側の答はトイレの改装だが、そんなの今は当たり前。
まず女性教員の割合を増やそうか。
これは県教委人事の仕事だ。
女性の感性をあらゆる場面で活かそう。
教員と兼用でもいいから女子ロッカー室をどこかに作れるといいね。
保健室にも女子専用コーナーがあるといい。
食堂メニューもカレーとラーメンの大盛さえあればいいという発想ではダメ。
世の中にはどうやったら女子に受けるかということで「プリンセスマーケテイング」なんて言葉もあるくらいだ。
生徒募集という観点から言うと、女子比率が少なくとも30%を超えるようじゃないと新校は成功しない。
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