数日前、埼玉県の感染症対策課から「インフルエンザの流行警報を解除します」との発表があった。
 年末から猛威を振るっていたが、ひとまず収束したようで何よりだ。
 が、「例年、A型株の後にB型株が流行する傾向がある」とのことなので引き続き注意が必要だ。

 来週はいよいよ公立高校入試の志願状況の発表がある。
 「我が校の倍率はどうなるか」
 数字が気になる学校も多いことだろう。
 だが、この期に及んで何か打てる手があるわけではなく、粛々と入試準備を進めるだけだ。

 進路希望状況調査で定員割れとなっている学校としては何とか1倍を超えて欲しいところだろうが、道は険しい。
 昨年(令和6年度入試)の場合だが、第2回調査の段階で全日制普通科で0.9倍台だったが学校が11校あったが、そのうち7校が最終的に1倍を超えた。
 また、同じく0.8倍台だった学校が14校あったが、そのうち7校が最終的に1倍を超えた。
 割合で言うと0.9倍台からの1倍超えが64%、0.8倍台からの1倍超えが50%である。
 0.7倍台からの1倍超えはなかった。

 今年第2回調査で0.9倍台だった全日制普通科は10校あった。
 庄和(0.98)、熊谷(0.96)、桶川(0.96)、川越西(0.95)、三郷北(0.95)、久喜(0.92)、春日部東(0.91)、新座柳瀬(0.91)、上尾南(0.90)、秩父(0.90)の各校だが、このうち何校が1倍を超えるか。
 
 また、第2回調査で0.8倍台だった全日制普通科は12校あった。
 春日部女子(0.89)、白岡(0.89)、所沢中央(0.89)、上尾鷹の台(0.88)、富士見(0.88)、松伏(0.88)、松山(0.88)、大宮武蔵野(0.87)、熊谷女子(0.87)、狭山清陵(0.84)、新座(0.83)、川越初雁(0.82)の各校だが、このうち何校が1倍を超えるか。

 こうした定員を超えるかどうかのボーダーライン上に、熊谷、熊谷女子、秩父、春日部女子、久喜、松山といった伝統校が含まれていることは、私のような昭和世代としては誠に残念なことである。
 だが、これらの学校を伝統校として括るその発想はすでに通用しなくなっているのかもしれない。

 伝統は勝てる要素である。
 だが同時に、負ける要素でもあると考えるべきである。
 伝統に誇りを持つことはむろん悪いことではない。しかし、それを頑なに守ろうとすることは時代遅れとなる危険性を孕んでいる。

 「歴史と伝統」という言葉をいったん封印せよ。
 「歴史と伝統」という言葉を使わずに我が校の魅力を語ってみよ。
 生徒募集で苦戦している伝統校にはこのように提言したい。

 もちろん最後に、とどめの一言として「歴史と伝統」を用いるのは全然かまわない。しかし、そこから入ってはだめだ。最後の切り札として用いるのだ。
 「我が校は〇年の歴史を誇る伝統校です」。
 まあ、そのとおりなんだが、この入り方をいったん止めてみよう。せっかくの新商品がこの一言で台無しになる。と、そこまで言っては失礼だが、新鮮味が薄れてしまうのだ。
 時代に合わせて進化しているはずだ。先進的な試みだっていくつもやっているはずだ。だったら、そこから入ろう。で、最後に「そういうことを100年続けている学校です」と言えばいいではないか。