コメ問題で大騒ぎである。
巷では今年の漢字は「米」で決定の声も。
たしかに米国トランプ大統領の打ち出した関税政策が一息ついたと思ったら、米問題であるから、米に振り回された1年ということになるかもしれない。
◆久しぶりに聞いた随意契約
備蓄米の放出にからんで随意契約(ずいいけいやく)という言葉が繰り返し聞かれた。
随意とは、自由、任意、思いのままといった意味。
随意契約は、工事の発注や物品の調達にあたり、「競争入札」ではない、それ以外の方法で選んだ業者と契約をすることである。
国や地方公共団体の場合、委託業者の決定は、基本的には競争入札で行う。
それぞれの業者が見積もりを出し、その中で一番金額が低かった業者に落札する仕組み。
まあ担当者の恣意的な決定が防げるから税金の執行の仕方としてはこれでいいのだろう。
◆昔は緩かった?
私はその昔(20年くらい前)、公立高校の学校案内パンフレットやポスターを制作する仕事を請け負っていた。
なんだかんだで15~20校くらいの制作に関わらせてもらった。
その当時も、形式としては競争入札の形をとる必要があったが、実質的には随意契約と呼んでいいものであった。
昔のことで細かい数字は覚えていないが、契約金額はパンフレット8ページもので最低でも70~80万円、場合によっては3ケタ(100万超え)もあったと思う。
わが社の場合、アートディレクター、デザイナー、カメラマン、コピーライターといったクリエーターを外注し、さらに印刷会社に印刷製本費を払うと手元にはそれほど残らなかったが、まあまあ悪い仕事ではなかった。
ところが、ある時点から、取引方法の運用が厳格化された。
本来それが正しいのだろうが、厳密に競争入札が行われるようになった。
競争入札は最低額を出した業者に決まるシステムだから、思いっきり安く出してくる会社も現れて、結果、落札額が非常に低額になった。
これでは勝負できない。
自分の会社が印刷会社やデザイン会社であればまだいいが、わが社の場合、それら業務は外注となる。
本当の仕事はパンフレットやポスターが完成してからで、その後も度も学校に足を運び、さまざまな角度から募集活動を支援する。
そういう業務も含めての随意契約であったのだが、それができなくなった。
それで公立高校の制作関係の仕事からは撤退した。
私の今の顧客は民間企業か私立学校がほとんどなので、たまに競争入札の案件もあるが、基本は随意契約だ。
◆コメはいつから固定資産になったのだ
以下、ついでの話。
新たに農林水産大臣に就任した小泉進次郎氏。
若くて威勢が良いのはいいとして、知識不足は如何ともし難い。
会見だかインタビューだかで、「古くなった備蓄米は減価償却されるので・・・」という発言をしていた。
おいおい、いつからコメは固定資産になったんだ。
ご自身で塾を経営されている先生にとって減価償却はおなじみの言葉だね。
これ知ってないと会計処理ができない。
新しいパソコンや社用車を購入したらそのうちいくらをその年の経費に計上するか、みたいな話。
まあ、時間が経つと価値が減って行くことを言いたかったのだろうが、商品在庫に用いてはいけない。
以上はご愛敬としてスルーしてもいいが、そもそも備蓄米って30万トンとかその程度の量しかない。
米の年間生産量は679万トン、年間需要量が674万トン。
つまり安く出回るとされている備蓄米は、流通量全体からみれば5%行くかどうかなので、はたしてコメの価格全体を引き下げるほどの効果があるのかどうか。
もっともそんなことは誰もが分かっているわけで、だとしたら今回の措置の本当の狙いはどこにあるのか。そのあたりも見極めなければならないだろう。

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