「よみうり進学メディア」の取材で熊谷商業高校に行ってきた。
 専門高校を訪ねるシリーズの一環である。

 昨年、すぐ近くの熊谷工業を取材したが商業の方は久しぶりだ。
 秩父鉄道「熊谷駅」から3駅目。時間にして6分。本数が少ないのが難点だが、最寄りの「ひろせ野鳥の森駅」から徒歩10分とアクセスは悪くない。

 創立は大正9年。熊谷商業学校として設立された。
 その後、「熊谷工業」となったり「熊谷商工」となったりしたが、工業分野が現在の熊谷工業高校となって分離したため、商業だけの学校となった。

 現在、県内公立では商業科のみの学校、いわゆる商業高校が7校あるがそのうちの一つ。歴史が古いのは岩槻商業、熊谷商業、深谷商業でいずれも100年以上の歴史を誇る。

◆「統合」を選んだ熊谷商業
 現在、商業高校の多くは、2科ないし3科体制である。
 たとえば、岩槻商業や浦和商業であれば「商業科」と「情報処理科」の2科、深谷商業であれば「商業科」と「会計科」と「情報処理科」の3科、といった形だ。
 熊谷商業もかつては「商業科」と「情報処理科」の2科体制だった時期もあるが、令和2年に「総合ビジネス科」の1科体制となった。(これ以外では大宮商業が商業科の1科体制である)

 私が今回の取材で確かめたかったのは、この部分だ。

 学科やコースなどの改編(再編成)にあたっては大きく二つの考え方がある。
 一つは「分離」である。「専門化」、「細分化」と言い換えることもできるだろう。
 もう一つは「統合」。こちらは「総合化」や「融合化」などと言い換えることができそうだ。
 実際の改編では、両者が複合的に行われたり、別の要素が加わったりももするが、考え方の方向はこの二つになる。

 熊谷商業の場合は、二つあった学科を一つにまとめた。
 では、なぜそうしたのか。
 この点を川窪慶彦校長に尋ねてみた。
 答えは、「分かりやすいから」「(学校を)選びやすいから」。
 まあ、この通りの言葉ではなかったが、要はそういうことだ。

 中学生は「普通高校」にするか「商業高校」にするかだけでも相当に悩むはずだが、これに加えて「商業科」にするか「情報処理科」にするかを決めなければならないとすれば、さらに選択が難しくなる。
 ここはひとつ、ハードルを下げようではないか。
 「商業」を主とするか、「情報処理」を主とするかは、入学後に決めてもらえばいい。
 つまり、川窪校長の言葉をお借りすれば、一種の「くくり募集」なのだ。

 なるほど。
 たしかに1年次の学びは、必修科目中心なので学科に関わらずほぼ同じだから、入学後の決定でも大きな支障はない。
 そこで、入試段階では、選択肢をあえて減らし、まずは商業高校を選んでもらう。
 ちなみに同校では、2年次から「大学進学群」、「商業群」、「情報処理群」という3つの群に分かれる。群は3年次に変更することもできる。

 マーケティングの世界、あるいは行動経済学の分野では、選択肢が多すぎると購買意欲が減退してしまうということが言われている。それと同列に論じることはできないが、迷う材料を与え過ぎないというのも、一つの考え方であると改めて感じたところである。