大学では入試取りやめの動きが広がっている。横浜国立大学などはかなり早い段階で2段階選抜は行わないと発表していたが、ここに来て宇都宮大学が二次試験を行わないと発表した。信州大学は今後の緊急事態宣言の動向によっては二次試験を実施しないこともあるとしている。
 日本中から受験生が集まる大学入試の場合、地元だけでなく全国の状況を見極めなければならないという事情もあるのだろう。

 高校では、宮城県の古川学園高校が予定していた入学試験(学力検査)を中止し、調査書のみの選抜に切り替えたというニュースが流れていた。
 古川学園は女子バレーボールの名門で、つい先ごろ行われた全国大会(春高バレー)でもベスト4に勝ち残っている。
 私のようなオールドファンには、前身である古川商業の印象が強いが、近年は部活動だけでなく大学進学にも力を入れているようだ。

 さては部活動でクラスター発生か。
 と、思ったが、そうではなく、生徒数人がPCR検査を受けることになったための措置であるようだ。
 はて、これはどうなんだろう。
 学校側は、受験生の健康と安全を第一に考えたと言っているが、はたして最良の選択だったのか。

 下は試験前日の同校ホームページによるお知らせだ。
 23日に予定していた試験を中止すると発表した。
 試験前日、22日のことだ。
 
 
 結果的には検査結果は全員陰性。
 ということで、下は今日23日のおしらせ。
   
 
 首都圏と東北地方では感染状況が違うし、高校入試の環境も異なるから、今回の措置が妥当だったのかどうか軽々には言えない。
 が、それにしても、検査対象者が出ただけで入試を中止するというのは、正直ちょっと行き過ぎなのではないかと思う。
 在校生の中に検査対象者が出たことを発表したのは誠意ある対応、勇気ある行動とみることもできるが、要らぬ不安を与える行為という見方もできる。
 また、やや厳しい目を向ければ、首都圏各校が入試当日における学校側のコロナ対策や、受験生に対する注意喚起を繰り返しているのに対し、この学校にはホームページを見る限りそれがない。
 午後にグループ面接があるようだが、その点は検討したのか。
 と、まあ、言えばいろいろあるのだが、前述したように事情を詳しく知らない者が今さらああだこうだ言っても仕方ない。

 大事なことは、これを一つの事例として、わが校で同様の、あるいは似たような状況が発生した場合、どう対応するかを検討しておくことだろう。

 受験生の命を守るとか、受験生の安全と健康を守ると言えばもっともらしいが、命がけで勉強してきた子だっているわけだ。そっちの命はどうなるんだ。
 健康の心配するなら、心の健康はどうしてくれる。
 明日の試験が急に中止になってショックを受けない受験生がいると思ってるのか。

 学校にだっていろいろ事情があるのは分かるが、受験生が聞きたいのは、命を守るとか、安全と健康を守るとか、この1年間飽きるほど聞いた言葉じゃなく、本当の意味で受験生の立場に立った愛ある言葉だ。
 万が一のときは、学校本位ではなく受験生本位の決定をお願いしたい。

 最後に高校の先生方にアドバイス。
 入試を中止するというのは、もしかしたら記者会見が必要なくらいの重要な場面だ。
 そういう重要な場面では、ホームページにお知らせ文書を掲載するだけでなく、校長が出てきて動画配信したほうがいい。今はそれが技術的に簡単に出来る時代だし、その方が真意が伝わる。