昨年の今頃にも書いた希望者の男女比率の話題である。
ちなみに、昨年のエントリー記事はコチラ。
今回もそれに沿った内容である。
「埼玉県高校入試、希望調査で男子(女子)比率が高かった学校」(2020年11月11日)
男女別希望者数が発表されるのは、第1回と第2回の進路希望状況調査だけで、それ以外(出願状況など)では、男女の内訳は発表されない。
繰り返し書いているように、埼玉県では男女別定員を設けていないので調査の必要がないというのが入試を管轄する高校教育指導課の考え方である。
では、さっそく結果を見てみよう。
◆普通科で女子比率高いのは大宮武蔵野、市立川越
普通科共学校では、概ね男女半々か、多少偏りがあったとしても6対4以内に収まるものである。
たとえば。
大宮(普通)男51.18% 女48.82%
市立浦和 男42.27% 女57.73%
浦和西 男49.34% 女50.66%
と、こんな感じになる。
経験上、6対4を超えると教室に入った瞬間、いちいち数えずとも男女に偏りがあることが分かる。7対3ともなると、「男子が(女子が)ずいぶん少ないな」という印象になる。
以下が、第1回進路希望調査(10月1日現在)に基づく、男子比率又は女子比率の高い学校である。
【女子比率上位校】
1 大宮武蔵野 76.98%
2 市立川越(普通) 75.23%
3 松伏(情報ビジネス)66.67%
4 入間向陽 65.42%
5 川越南 61.93%
6 南稜 61.89%
7 松伏(普通) 61.76%
8 宮代 61.64%
9 上尾鷹の台 60.00%
【男子比率上位校】
1 飯能南(スポーツ) 100%
2 八潮(体育コ) 87.50%
3 児玉(体育コ) 80.00%
4 ふじみ野 (普通) 73.94%
5 春日部東(普通) 73.39%
6 日高(情報コ) 73.33%
7 川越初雁 67.75%
8 北本 67.74%
9 鳩山(普通) 66.67%
10 浦和東 65.90%
11 川口市立(スポ科) 64.86%
12 大宮東(普通) 63.32%
13 川口北 63.16%
14 深谷 62.35%
15 豊岡 61.99%
16 朝霞 61.71%
17 岩槻北陵 61.54%
18 白岡 61.11%
19 八潮(普通) 60.82%
20 坂戸西 60.39%
21 越谷西 60.12%
男子比率または女子比率が60%を超える学校を挙げると以上のとおりとなる。
人気の理由は、女子は制服、男子は体育・部活というのは去年も書いたことだ。
女子比率の高い大宮武蔵野、入間向陽、川越南、上尾鷹の台などはWEBサイトに「制服」のページがある。制服が学校の「ウリ」の一つになっているのだろう。
男子比率が高い学校は体育系学科やコースのある学校や部活動強豪校が多い。ふじみ野と大宮東は体育系学科もある学校で、むろん強豪部活も多い。浦和東はサッカー、深谷はラグビー、豊岡は陸上・アーチェリー、坂戸西は陸上・男子バレー・女子弓道、越谷西は陸上・サッカー、春日部東は陸上その他の強豪校だ。
川口北は男子バスケ・男子ハンドの強豪校だが、このグループの中ではやや異質と見える。学校の格から言えば、越谷北、所沢北、あるいは近隣なら蕨、浦和西あたりと同様な男女比になっていてもおかしくない。
越谷北(男49.23、女50.77)
所沢北(男54.42、女45.58)
蕨 (男52.48、女47.52)
浦和西(男49.34、女50.66)
川口北(男63.16、女36.84)
川口北は第1回調査では1.01倍と低迷しているが、その主たる原因は、女子の希望者の少なさだ。川口北の女子の希望者は今回133人だ。浦和西の420人は別格としても、越谷北296人、所沢北289人、蕨278人などに大差をつけられている。創立以来野球部を持たない川口北にそれほど多くの男子が押し寄せるはずもなく、男子比率の高さは女子人気の低さによるものと考えざるを得ない。
ここでちょっと余談。
私がかつて川口北に勤務していたことは何度か書いたと思うが、その頃から制服はまったく変わっていない。昭和感丸出し、JK感ゼロ。制服で選ぶような学校じゃないとは思うが、それにしても・・・。
川口北は1974年開校だから間もなく創立50周年だ。それをちょっと前倒しして、来年か再来年あたり、50周年記念の一環として制服デザイン(特に女子)を一新したらどうだ。それ自体は実は大したことないのだが、一般論として言えば、動きがない学校は注目されないのだ。ほぼ同期の所沢北、熊谷西には理数科ができた。少し先輩の越谷北にも。何もないのは川口北だけ。その昔、川口北に体育科を作らないかという話が持ち上がったが、それは即座に断った。その代わり大宮東に体育科ができた。それは正解だったと思うが、大宮に続いて理数科を作ればよかった。でも、川口市立に理数科が出来た今ではそれも手遅れ。とにかく何か新機軸を打ち出さないと川口市内トップ校の座は川口市立に明け渡すことになる。開校当時、市内には、川口(当時男子校)、川口工業、市立川口、市立川口女子、市立県陽(定時制)とあったが、「県立・普通科・男女共学」という学校がなかった。それは非常に有利な材料で人気上昇の一因ともなった。だが、その後川口は共学化し、川口東・川口青陵も出来て「県立・普通科・男女共学」は川口北の独占物ではなくなった。もっとも効果的な「売り」は唯一ということである。唯一であるためには最初でなければならない。どこもやっていないことにチャレンジして欲しいと思う。
ちょっと長めの余談をはさんだが、以上が普通科である。次に専門学科も見ておこう。
◆女子比率高い農業系
農業系学科は6校18学科あり、全体の男女比率は男子47.50%、女子52.50%で女子比率の方がやや高くなっている。
【女子比率が高い農業系学科】
1 熊谷農業(生活技術) 90.00%
2 児玉白楊(環境デザイン)86.36%
3 杉戸農業(生活技術) 81.82%
4 鳩ケ谷 (園芸デザイン)81.25%
5 熊谷農業(食品科学) 71.43%
デザインという名称は女子受けが良いようだ。
生活技術や食品科学は、家庭系に近いということで女子人気が高いのだろう。
◆工業系は圧倒的に男子比率が高い
工業系全体では、男子88.27%、女子11.73%で圧倒的に男子比率が高い。
ただ、一部の学科では女子比率が男子比率を上回っている。
【女子比率が高い工業系学科】
1 新座総合技術(デザイン)86.84%
2 川越工業(デザイン) 82.19%
この2校2学科に関しては例年、圧倒的に女子比率が高い。
新座総合技術には何度も授業を見に行っているが、どう見てもここは美術科だ。なぜ工業系に分類されているのか不思議だ。
なお、現時点で定員割れ校(学科)が多い中、川越工業だけは別格で、5学科中4学科が1.60倍以上の高倍率となっている。
◆商業系では情報処理が男子優勢
商業系全体では、男子44.22%、女子55.78%で女子比率が高いわけだが、これは予想できる数字である。
が、中には男子比率が高い学科もあるので、それだけ見ておこう。
【男子比率が高い商業系学科】
1 深谷商業(情報処理)60.19%
2 岩槻商業(情報処理)60.87%
3 狭山経済(情報処理)57.35%
4 越谷総合技術(情報処理)53.35%
男子の人気は情報処理科に集中している。工業系ならば情報技術科に通じる内容だ。
なお、羽生実業・鳩山など男子比率が高い学科があるが希望者数全体が少ないので割愛した。
◆理数は男子、外国語は女子
理数科は全体では男子71.71%、女子28.19%で圧倒的に男子比率が高い。比較的差が少ないのが所沢北(男58.82%、女41.18%)。
外国語科はこれとは逆で、全体では男子23.69%、女子76.31%となっている。
外国語科は和光国際(1.48倍)を除けば、現状では皆、定員ギリギリか定員割れ状態となっている。もはや「外国語」では集まらない。「国際」と名の付く学校だけが倍率を出しているのを見れば分かるだろう。東京外国語大学から外国語学部が消滅している時代だ。岩槻の「国際文化」みたいなのではなく「国際関係」にしたら、ちょっとは振り向いてもらえるかもしれない。「外国語=英語」はもはや時代遅れだから、いっそタガログ語、タイ語、ベトナム語、何ならスワヒリ語なんていうのはどうだ。「外国語科」じゃなく「国際言語科」。あとは思い切って国際バカロレアまで振り切ってしまう。そこまではしないよというなら不動岡のように普通科に吸収してしまうことだ。
その他の専門学科では、家庭系・福祉系は女子比率が高い。
美術・音楽・書道・舞台芸術・映像芸術といった芸術系も女子比率が高い。
体育系は学科としては大宮東・ふじみ野の2校だが、いずれも男子比率が70%を超えている。
総合学科では、定員40増でありながら現状1.87倍の高倍率をたたき出している川越総合が、男子27.42%、女子72.58%と女子比率が高い。川越総合の前身は川越農業で、農業や食、環境に関する教科が多い学校だ。いまいちピント来ない総合学科校が多い中、ここは「川越農業。からの川越総合」と特色が分かりやすい。
以上が第1回進路希望調査(10月1日現在)における男子・女子比率である。
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