最近、データ物(調査もの)が少ないんじゃないかというご意見があったので、ご要望にお応えする。
 埼玉県第1回進路希望調査に基づく男女比率調べである。
 男子に人気の学校や学科、女子に受けの良い学校や学科というものがあるのではないか。

 なお、これは希望調査の結果であるから、実際の入学者がどうなるかは分からない。
 そもそも、男女別の合格者や入学者というデータが発表されない。
 進路希望調査の段階では男女別があるが、出願時以降は合計人数だけとなる。
 その理由は、進路希望調査は教育政策課、出願状況調査は高校教育指導課という担当部署の違いがあることと、高校教育指導課では「埼玉県では男女別定員を設けていないので、男女別は調べていない」という事情によるものである。このことは以前にも書いた。

◆普通科で女子比率高いのは宮代、大宮武蔵野
 普通科共学校では、だいたい男女半々か、多少偏りがあっても6対4以内に収まるものである。
 たとえば。
 浦和西   男49.7% 女50.3%
 大宮(普通)男50.7% 女49.4%
 蕨     男50.1% 女50.0%
 と、こんな感じである(四捨五入の関係で合計が100%超える場合あり)。

 6対4というと、40人学級では24人対16人となり、いちいち数えなくてもパッと見で偏りが分かる。
 7対3だと、28人対12人となり、ずいぶん男子(又は女子)が少ないなという感じになってくる。授業はさほではないが、学校行事や部活動では何かと支障が生じるかもしれない。

 で、第1回進路希望調査に基づく、男子比率・女子比率の高い学校である。
 【女子比率上位校】
 1 宮代        71.64%
 2 大宮武蔵野     70.79%
 3 市立川越(普通)  69.52%
 4 大宮光陵(外国語コ)66.67%
 5 日高(普通)    65.17%

 【男子比率上位校】
 1 飯能南(スポーツ) 100%
 2 八潮(体育コ)   94.12%
 3 日高(情報コ)   90.00%
 4 児玉(体育コ)   78.57%
 5 春日部東(普通)  73.91%
 6 ふじみ野(普通)  68.91%
 7 浦和東       66.43%
 8 大宮東(普通)   62.07%

 人気の理由は、女子は制服、男子は体育・部活かな。
 大宮光陵(外国語コース)は、後述するが外国語は女子が多いという傾向が出ているだけで制服は関係ないだろう。
 大宮武蔵野は、HPの「中学生の皆さんへ」の所に、説明会情報や選抜基準と並んで、「制服」というメニューがある。制服で選んでくれということか。

 制服がカワイイとか言っても、毎日のことだから次第に感動は失われる。それに、どうせ着崩すわけだしな。逆に言えば、ダサい制服だって慣れりゃどうってことない。毎朝見ている浦和一女の生徒なんて、博物館か歴史資料館から取り寄せましたみたいな制服着て堂々と歩いてるよ。
 男子は、体育系コースや部活の盛んな学校が上位に顔を並べている。

◆意外と女子比率高い農業系
 専門学科に目を転じると、農業系では女子比率の高い学科がいくつか見られる。
 農業系全体でも、男子46.99%、女子53.01%で、女子の希望者の方がやや多い。

 【女子比率が高い農業系学科】
 1 鳩ヶ谷(園芸デザイン)94.74%
 2 杉戸農業(生活技術) 88.89%
 3 児玉白楊(環境デザイン)81.48%
 4 熊谷農業(生活技術) 81.03%

 農業系と言うけれど、ズバリ農業科は秩父農工科学にしかない。校名に農業が付く熊谷農業、杉戸農業には農業科はない。
 デザインという名称は女子受けしそうだ。
 生活技術は、食物調理とか保育とか、どちらかというと家庭系に近いということで女子人気が高いのだろう。

◆工業系は圧倒的に男子比率高いが例外も
 工業系全体では、男子89.89%、女子10.11%で圧倒的に男子比率が高い。
 ただ、一部の学科のみ女子が男子を上回っている。

 【女子比率が高い工業系学科】
 1 川越工業(デザイン)  76.81%
 2 新座総合技術(デザイン)73.08%
 
 この2校2学科以外に女子比率が50%を超える例はない。40%もなく、30%が一つ二つ見られる程度だから、これは例外だろう。
 実際、授業を見に行っても、どこが工業なんだという感じで、デッサンに励む姿を見れば美術科と言われても誰も疑わないだろう。

◆商業系では情報処理が男子優勢
 商業系全体では、男子42.10%、女子57.90%で、予想通り女子比率が高いわけである。
 が、中には男子比率が高い学科もある。

【男子比率が高い商業系学科】
 1 狭山経済(情報処理)68.85%
 2 岩槻商業(情報処理)62.22%
 3 深谷商業(情報処理)57.14% 
 3 市立川越(情報処理)56.67% 

 男子の人気は商業科ではなく情報処理科に集中している。工業系で言えば情報技術科に通じる内容なので、珠算や簿記よりもコンピュータをやりたいというのが男子の志向なのだろう。
 なお、羽生実業・鳩山・皆野などに男子比率が高い学科があるが希望者数全体が少ないので割愛した。

◆理数は男子、外国語は女子
 予想されたことだが、理数科はすべて男子比率の方が高く(男子66.16%)、外国語科はすべて女子比率(女子75.78%)の方が高い。

 その他の専門学科では、家庭系・福祉系は女子比率が高い。
 美術・音楽・書道・舞台芸術・映像芸術といった芸術系も女子比率が高い。
 体育系は学科としては大宮東・ふじみ野の2校しかないが、いずれも男子比率が70%を超えている。

 総合学科では、川越総合の女子比率が70.84%と高い。前身は川越農業であり、農業や食、環境に関する教科が多い学校だ。誠和福祉(総合学科)も福祉科が併置されているため、その方面の教科が多い。

 以上が第1回進路希望調査における男子・女子比率である。
 第2回調査でも実際の出願でもこの傾向は変わらないだろう。