この時期、あまりネタがないので埼玉県高校入試第1回進路希望状況調査の数字をいじくり回している。
 今日のお題は、「この数字、変わり映えしないね」である。

 塾の先生方は毎年のように見ているし、また、この数字が今後どのように推移して行くかをお見通しなので、特に驚いたりはしないわけだが、初めて目の前に倍率を突き付けられた受験生や保護者にとっては衝撃であったかもしれない。まあ、引き締めの材料にも使えるから、しばらくショック状態でいてもらうのもいいだろう。

◆倍率上位の顔ぶれは変わらない
 さて、ここからは、全体として見れば各校倍率は例年と大して変わっていないということの数字的裏付けである。

 左側が今年度第1回調査の普通科倍率上位校のランキングである。
 右側が過去5年間の同時期倍率の平均値上位校ランキングである(川口市立は4年間平均)。
 募集人員の増減により倍率は変化するが、今回それは無視して単純に平均を出した。
 なお、過去5年間とは、29年度・30年度・元年度・2年度・3年度である。

 今年度      過去5年間平均
 01市立川越 3.95 01市立川越 3.77  
 02市立浦和 3.53 02川口市立 2.89 
 03川口市立 3.34 03市立浦和 2.68
 04浦和西  2.32 04上尾   2.51
 04川越南  2.32 05浦和西  2.38
 06南稜   2.00 06川越南  2.34
 06鳩ケ谷  2.00 07越ケ谷  2.27
 08大宮   1.99 08所沢北  2.12
 08所沢北  1.99 09南稜   2.07
 10越ケ谷  1.98 10大宮   2.06
 11越谷南  1.92 10蕨    2.06
 12上尾   1.85 12浦和南  1.94
 13蕨    1.84 13越谷南  1.80
 14越谷北  1.83 13熊谷西  1.80
 15浦和南  1.82 15鳩ケ谷  1.76 
 16深谷第一 1.69 16大宮北  1.74
 17和光国際 1.67 17所沢   1.69
 17大宮北  1.67 18和光国際 1.68
 19所沢   1.65 19深谷第一 1.61
 20入間向陽 1.60 19越谷北  1.61

 とりあえず20位で区切ってみる。
 
 今回と5年間平均とで、多少の順位変動はあるが、20校の顔ぶれはほとんど変わらない。
 今回20位の入間向陽は5年間平均だと32位となる。今回20位圏内に入っていない(24位)熊谷西は5年間平均では13位に浮上する。
 市立川越は今回も過去5年間平均もトップ。過去5年間で2回、4倍を超えているのでそれよりは低い。
 市立浦和は、過去5年間の最高は元年度の3.26なので、今回それよりも高い。
 川口市立は、過去4年間で2回、3倍を超えており、今回は元年度の3.34と並ぶ高倍率だ。
 上尾は、過去5年間平均2.51であるから、今回の1.85はかなり低めと言える。
 越ケ谷は、過去5年間平均2.27に対し、今回1.98と低めだが、定員40人増の影響だろう。
 鳩ケ谷は、過去5年間平均1.76と比べ、今回2.00はかなり高めだが、2年度にも2.06を記録している。典型的な隔年現象が見られる学校で、今回は上がる順番。
 越谷北は、過去5年間平均1.61に比べ、今回1.83はやや高め。過去5年間の最高は30年度1.82なので、僅かに上回った。
 所沢北は29年度から3年間、2倍超えが続いたが、直近2年間は2倍を割り込み、今回も1.99。
 
◆浦高など上位校の動き 
 今回倍率トップ20に入っていない学校の動きも見ておこう。
 
 浦和は、過去5年間平均1.49である。29年度から2年度までの4年間は1.5~1.6で推移していたから、昨年同期の1.28と今回の1.31は、同校としてはかなり低めのスタートということになり、本番に向けて少しずつ上昇することになるだろう。
 浦和一女は、過去五年間平均1.26に対し、今回1.27で例年並みと見えるが、直近2年間は1.30からのスタートなので、浦和同様、本番に向けて少しずつ上昇する形となるだろう。
 春日部は、過去5年間平均1.08に対し、今回1.06であるからほぼ例年並みのスタートと言える。本番に向けては、今回の調査対象に含まれない県外生(隣接県協定に基づく)の上乗せがある程度見込まれるのがこの学校の特徴だ。
 川越は、過去5年間平均1.50に対し、今回1.54であるから例年並みだ。本番に向けて倍率変動が少ないのがこの学校の特徴である。
 川越女子は、過去5年間平均1.52に対し、今回1.45であるから、やや低めである。川越同様、倍率変動が少ない学校だが、同校としてはやや低めのスタートなので、本番に向けてやや上がるかもしれない。
 不動岡は、過去5年間平均1.57に対し、今回1.23とかなり低めとなっている。外国語科が募集停止になった分、普通科が40人増となったことも倍率低下につながっている。従来の外国語科志望層を十分に取り込めていない可能性もある。
 熊谷は、過去5年間平均1.11に対し、今回1.04と低迷している。全県普通科平均に届くのは難しそうだ。
 熊谷女子は、過去5年間平均1.12に対し、今回1.05と、熊谷同様低迷している。ここも全県普通科平均に届くのは難しそうだ。
 川口北は、過去5年間平均1.35に対し、今回1.01と大きく落ち込んでいる。29年度から2年度までは1.4~1.5からのスタートだったが、去年は1.02からのスタートとなった。その後第2回調査でも回復せず定員割れ状態となり、それで慌てて説明会や個別相談を追加し、何とか定員割れを免れたというのが去年の経験だ。今年はさらに低い状態からのスタートだから、早めに(年内に)手を打ったほうがいいぞと警告しておこう(ではなく、ご忠告申し上げよう)。
 
 専門学科なども含め、一気に情報発信すればいいのだが、調べに時間がかかり細切れとなってしまう。