埼玉県私立中学高等学校協会(中高協会)が主催する中学校の先生向け説明会を取材してきた。
多くの私立高校が、塾を対象とした説明会を実施しているのは比較的よく知られている。
しかし、中学校の先生を対象とした説明会が行われているのは、意外と知られていない。
実施要項が中高協会ホームページ掲載されている。
令和4年度 中学校の先生方対象の学校説明会
塾説明会は、各校が独自に開催する私的な会だ。
が、こちらは埼玉県及び埼玉県教育委員会等も後援に名を連ねている。
やや公的な色彩を帯びた説明会と言えよう。
今回は7地区に分かれ、4日間の日程で行われた。
私が訪れたのは東部地区の説明会だ。
全日制6校、通信制2校の計8校が学校説明を行った。
各校持ち時間は15分。
15分というのは、なかなか微妙な時間だ。
言いたいことは山ほどある。
30分とか1時間とかあれば、大体のことは言える。
だが15分では、説明できる内容に限りがある。
ポイントを相当絞らないといけない。
経験の少ない私には、かなり高いハードルだ。
その点、私立の先生方は実に達者だ。
やはり場数を踏んでいる人たちは違う。
今回、全日制6校の学校説明(プレゼン)を連続して聞いた。
その際、私は注目点を二つに絞った。
1 パワポスライドのデザイン、レイアウト
2 聞き手に次のアクションのきっかけを与えられたか
今日は、このうちスライドのデザイン、レイアウトについて話そう。
公立に比べ、説明の機会が多いこともあり、今日のスライドは全体として完成度は高かった。
ただ、スライド1枚当たりの情報量が多すぎると思われる学校もあった。
特に文字量が多すぎる。
人が一瞬にして読み取ることの出来る文字数はどのくらいか。
一行何文字だったら瞬時に認識できるか。
一般には9文字から13文字と言われている。
だから、新聞の大見出しは通常9文字を超えることはない。
Yahoo!ニュースの見出しも13文字で統一されている。
個人差はあるだろうが、経験的にも大体こんなものだ。
それ以上になると、「見る」より「読む」ことに集中することになる。
そうしないと理解できない。
聞き手の手元にはスライド内容が印刷された資料が配られている。
そこで、プロジェクターが遠くて小さくて読めないと諦めた人は、手元資料を読もうとする。
しかし、人は読むことに集中すると、聞くことが疎かになる。
話し手は、なぜ今そこに立ち、マイクに向かっているのか。
それは、話を聞いてもらいたいからだろう。
その方が理解しやすいし、印象にも残るからだ。
ところが、詳しすぎるスライドがそれを邪魔するのである。
せっかく対面式の説明会を行いながら、話し手と聞き手の目が合うことはない。
聞き手の視線の大半はスライドか手元資料に向けられる。
これは非常にもったいないことだと思われる。
便利な道具はどんどん使ったほうがいい。
だが、所詮は道具である。
道具そのものにはアピールする力も、人を動かす力もない。
便利なプレゼンツールは、時として理解や共感の妨げにもなる。
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