麹町中学校(千代田区立)の学校改革が、マスコミでよく取り上げられているようなので、ちょっと語ってみよう。

 2014年に工藤勇一先生が校長に赴任してから急速に改革が進められたようである。工藤校長は、著書も出されているし、テレビや新聞・雑誌にも登場されている。
 私立学校の校長や理事長がマスコミに取り上げられることは多いが、公立、それも中学校というのはめずらしい。
 まあ、そのめずらしいという点がマスコミ的には重要なのであるが、マスコミ論はひとまず措いておこう。

 千代田区には公立中学校が2校しかない(九段中等教育学校を含めれば3校)。
 ど真ん中に皇居があって、大手町、丸の内、永田町、九段、神田とくれば、官公庁や企業はあっても一般の住宅はさほど多くなく、加えて半数以上が私立中学校に進むような土地柄であるから、公立中学校の需要は少ないのである。

 その昔、「番町小学校→麹町中学校→日比谷高校→東大」がエリートコースと言われたが、それは昭和40年以前の、まだ私立が勃興する以前の話で、かつての名門も今は普通の公立中学校だ。
 とは言え、日本の政治経済の中心地であるから、住民の所得もそれなりに高く、教育には関心が高い層が集まっていると考えられる。

 最寄り駅は半蔵門線「永田町」又は銀座線・丸の内線「赤坂見附」。名前は麹町だが住所は平河町。私は大学が隣の紀尾井町にあったので、よく前を通った。生徒たちは千代田区全域から電車を使って通学してくる。

 学校紹介が長引いたのは、そこらにいくらでもある公立中学校とは、背景というか地域性がまったく違うということを確認しておくためだ。

 さて、改革の中身である。
 ●固定担任制の廃止
 ●定期考査の廃止
 ●宿題の廃止
 他にもたくさんあるが、主にマスコミに取り上げられているのは三つだ。
 廃止ばかりなのが気になるが、当然それに代わる方法が提示されているわけで、そのあたりを一つ一つ見ておくことにしよう。(つづく)