明日9日は埼玉県公立高校入試、入学許可候補者の発表(通称、合格発表)。いろいろなことがネットで出来るようになった時代、昔ながらの方法はいつまで続くのだろうか。
 私は仕事上、発表風景の写真を撮る必要があるので毎年どこかに行く。念のため事前に取材申し込みはしておく。

 塾の先生方には、一度は発表の現場を見ておいたほうがいいと勧めているが、それぞれのお考えもあるだろうし、このようなご時世であるから適切にご判断いただきたい。

 私は、日々生徒たちを直接指導しているわけではない。それでいて、媒体には受験生へのアドバイスを書いている。
 受験生の顔が見えないことにいつも不安を持っている。
 だから、学校説明会なども出来るだけ見に行くようにしている。入試当日も発表の日も現場に出かける。
 つまり、仕事上の必要で行っているわけだから、塾の先生方が、自分にはその必要がないとお思いになるなら、それは仕事の性質や立場の違いというものである。

 とは言いつつも、合格を手にして喜び合う親子の姿や、肩を落とし無言でその場を後にする子供たちの姿は、しっかりと目に焼き付けておいたほうがいいと思うのである。

 どうしても不合格者の方に目が行く。
 掲示板を見たその瞬間の態度や表情で大方結果は推測できるのだが、合否がはっきり分かるのはその後で、合格者は必要書類の入った封筒を受け取るため事務室前に列を作るが、不合格者は何も持たずに引きあげる。
 必要あってのことだが、何と残酷な封筒であることよ。

 合否の差がほんの僅かであることは塾の先生方も経験上、よくお分かりだと思う。私も合否を決める側にいた経験があるが、合格者と不合格者の間にそれほど大きな差があるとは思えない。明日また別の問題でテストをしたら、合格者は3分の1くらいは入れ替わってしまうのではないかと思うほどだ。

 よく頑張った。
 合格者だけが頑張ったのではなく、不合格者だってよく頑張った。
 終わりじゃないよ。これから新しい生活のスタートだ。高校って楽しいぞ、面白いぞ。新しい友達や先生に出会ってそう思えた人はみんな勝者。
 明日は心の中で、全員にそんな言葉をかけてあげるとするか。