ここ数日、集中的に大学合格件数について書いた。高校の先生方を念頭に書いたものである。塾の先生方にも多少はお役に立ったかもしれない。

 ランキングもいいけど、自校のポジションが分かったでしょう。当面のライバルが明らかになったでしょう。次のターゲットが見えてきたでしょう。
 って、それは言い過ぎだが、ただの順位づけとは異なる視点を提供できたんじゃないかと自画自賛。

◆「実績がないから」って、聞き飽きたよ
 よく先生方が「うちは実績がないから」と口にする。
 が、それを言っている間はダメなんだな。
 この話は何度も書いているが、実績は作るものである。結果としてついて来るものである。

 実績がない。
 では、実績を作ろう。作るための方策を考えよう。
 策は大きく二つあって、一つは募集強化、もう一つは教育内容・方法の改善。
 なのだが、より重要なのは募集強化だ。

 いや、だから、その募集が実績がないのでうまく行かないのよ、などと言っているようなら、もう戦う資格がないから、今のままで我慢だね。

◆やり方は部活強化と大して変わらん
 部活を強化したければ、優秀な選手をスカウトしてくること。
 その前提として優秀な指導者がいなければならないが、その話は今日はしない。
 
 野球ならいいピッチャーが一人入ってくれば、チームがガラッと変わるでしょう。サッカーでもいいFW(フォワード)が一人、MF(ミッドフィルダー)でもいいけど、とにかくそれでチームは変えられる。それを3年続ければ、勝ち負けは別としてとりあえず戦う集団は作れる。
 集まってきた子で頑張るというのも部活のやり方として正しいが、常勝軍団にはなれない。

◆超出来る子を5人
 同様に、大学合格実績を伸ばしたかったら、出来る子5人取ってくる。
 この場合の5人は、去年1番で入った子よりもさらに上の5人ということだ。10人でも20人でもいいが、急には無理だから5人で十分。
 受験者数や倍率ばかり気にする先生もいるけど、真ん中より下の受験生がいくら増えても、それでは実績は伸ばせない。

 特に公立の先生は倍率ばかり気にする傾向があるが、真ん中より下が増えて倍率上昇しても最下層のレベルが少し上がる程度で、生活指導上の問題は減るかもしれないが進学実績には影響を及ぼさない。

◆公立は特別をどこまで許容できるか
 出来る子5人が早慶上智やMARCHを一人当たり5、6件受かってくれれば待望の実績誕生となるわけだが、問題はその出来る子をどう募るかだ。
 私立であれば特別のクラスを作るとか、特待生制度を設けるのが一般的だ。要は受け皿を作ること。受け入れ態勢作らないと出来る子は呼べない。
 公立だと特待生は無理だ。特別のクラスを設けるのも難しいが、飛び抜けて出来る子のための特別な講座くらいなら作れるだろう。
 方法はいろいろあるが、一番のネックは先生たちが特別扱いを受け入れられるかどうかだ。出来ない子の特別には熱心なのに出来る子の特別をなぜ認めない。個性を伸ばすんじゃなかったのか。多様性を認めるんじゃなかったのか。

 たった3年間の短期決戦だ。部活同様、出来る子のスカウトが実績を出せるかどうかのカギだ。
 待っていても出来る子は来ない。

◆良い教育だけでは生徒は集まらない
 良い教育をしていれば自然に生徒が集まる。
 って、一体いつの時代の話をしているのだ。
 
 良い教育は武器じゃない。戦い(レース)に参加するための条件の一つに過ぎない。
 どんなに良い教育を用意したって、それを糧にできるだけの資質を持った生徒を集めないと無駄になる。

 私はいつも言っている。
 先生方が直面している数々の問題は募集によって解消できる。
 ということは、実績が足りないという問題も募集で解消することができるのだ。

 今日は横浜の高校(横浜高校だけど)の取材に行った。
 思い切って上野東京ラインのグリーン車(片道1000円)を使い、社内でこの記事を書いている。
 乗客が少ないせいもあるが、意外に集中できることが分かった。
 たまにはこういう手を使うのもいい。