こんな報告が出ているので紹介しておくよ。
「公立小・中・義務教育学校における 「学校再開後の学習への取組状況等の調査結果」」について
 10月15日(木)、埼玉県教育局が通常登校が再開された後の小中学校の取り組みについて調査したものだ。

 16日(金)の埼玉新聞には、こんな見出しで記事になっていた(1面トップ)。
 「授業60時間不足」2割
 小中学校調査 調整、確保後なお
 ICT活用48%

 見出しだけでは分かりにくいが、行事の見直しなどで授業時間を確保したが、それでも休校で欠けた時数の方が60時間以上多かった学校が2割あったということ。
 しかし、いつも言うように、こういうのは元のデータを当たってみたほうがいい。
 すると、こんなことが分かった。

 この記事だけ読むと、「欠けた時数-補った時数=60時間以上」という学校が2割あって、授業数不足で大変だとなる。
 が、元の調査結果を見ると、欠けた時数より補った時数の方が多い学校も同じく2割ある。
 つまり、頑張って授業数確保したら、欠けた時数を上回ってしまった。
 たぶん、行事などを思いっきりカットした結果だろうから、喜んでいいのかどうかは分からないが、とりあえず、授業の遅れは時間数で見る限りは取り戻した。

 一番多いのは、小中学校とも、1~30時間不足。次に31~60時間不足。3番目が60時間以上不足。
 たしかに、深刻な問題として一番不足している部分を取り上げるのは間違いではない。
 でも調査全体ではこのようになっているという記述が一切ないから、読み手の印象としては、「こいつは大ごとだ」となる。
 
 なお、60時間というのは、1週間あたりの授業数は30時間だから、2週間分となる。それはカッコつきで「2週間分相当」と書いてある。
 ただ、見出しにはより大きな数字を使うのが新聞のお約束だ。
 「2週間不足」よりも「60時間不足」の方が大きく感じられる。同じことなんだけど。

 調査では、中学3年生の教育課程がいつまでに終わる見込みかも聞いている。
 3月上旬までとしている学校が90%近くあるが、1月中旬~2月中旬までとしている学校は24%ほどだ。
 入試出題範囲の縮小はあるものの、やや不安を感じる結果だ。

 この調査報告では詳しく分からないが、学校ごとの違いよりも地域ごとの違いが大きいと思われる。

 表紙含めA4、11ページほどなので、塾の先生は一度元の資料をご覧いただきたい。
 この調査は県のものなので、さいたま市は含まれていない。