知り合いの塾の先生から聞いた話。K先生(仮)としておこう。
 「この間、13年前に亡くなった母親から手紙が届いたんですよ!」

 なにそれ。誰かの悪戯? それともJP(日本郵便)のサボり?

 聞いてみたら、もちろん本物で、母親の郷里である岐阜県が企画し、20年前(2000年)タイムカプセルに埋めた手紙を今年掘りだして宛先に届けたものだという。
 さっそく調べてみた。
 「岐阜県、手紙、20年前」で検索。
 地方紙・岐阜新聞の11月29日付記事がヒットした。

 拝啓、20年後の私 タイムカプセルの手紙にほっこり

 企画したのは岐阜県ではなく、恵那青年会議所(JC)であることが分かった。
 恵那峡(木曽川中流)で有名な恵那市だ。
 昔撮った写真があるはずと探したが、デジカメ以前なので見つからなかった。

 同JCが21世紀を目前にした2000年、「未来への夢を描こう」と市民から手紙や作文を募ったところ、小中学生を中心に181点が寄せられたそうだ。
 K先生のところに届いた手紙とはおそらくこれだろう。
 亡くなったのが13年前というから、それより7年前、母は20年後の娘に宛て手紙を書いた。
 そして娘は、当時の母親の年齢に近づき、今年その手紙を読んだ。
 他愛のないことばかりだけど涙が止まらなかったという。

 死んだ両親から手紙が届く。
 しかも、まだ60代、70代だった両親からだ。
 今の自分の年齢と同じだ。
 そのころ何を思い日々を送っていたのか。
 これは知りたい。聞いてみたい。

 むろん、生きているうちにも聞けるわけだが、40代の自分には60代、70代の両親の気持ちは本当のところ分からない。
 でも、その年になった今なら分かる。
 暗い話題ばかり多かった今年だが、最後の最後に素晴らしい贈り物が届いた。
 「今年がコロナだけじゃなくて良かった」(K先生)

 ついでだからと調べてみたら、こういう企画というかビジネスはすでにたくさんあることが分かった。
 一例がコレ。日本郵便の関連機関がやっているものだ。
 ↓
 タイムカプセル郵便
 
 最長期間は10年で、手紙の場合なら2000円。
 10年後ならまだ生きてる可能性もあるから自分宛てでも良さそうだ。
 いや、5年後ぐらいにしておいたほうが無難か。

 10年後とすれば、ほぼ70歳の私が、ほぼ80歳の私に宛てることになる。

 よう、元気にしてるかい。
 お前さんはこの手紙、どこで読んでる?
 っていうか、頭がやられてしまい、そもそも文章が読めるかどうかが心配だ。
 そうならないように日々頭と体を精一杯使うようにしている。
 もしお前さんが、何とか人手を借りずに暮らしているとしたら、
 それは、私のおかげだ。感謝しろ。

 って、ダメだこりゃあ。
 涙じゃなく怒りが湧いてくる。