2021埼玉県公立入試。理数科・外国語科を除く専門学科のまとめである。
3万人近い受検者がいる普通科に比べればはるかに少ないが、それでも7~8千人の受験者がいる専門学科(専門高校)であるから、まとめは必要だ。
今すぐにということではないが、次年度の志望校選択時には、多少なりとも役には立つだろう。
【農業】
6校 18学科
▽平均倍率 1.01倍
▽最高倍率 杉戸農業(生物生産技術)1.23倍
定員をほぼ満たしたのが(欠員補充を行わないのが)、熊谷農業(生活技術)、同(生物生産技術)、杉戸農業(生物生産技術)、同(園芸)、同(生活技術)、秩父農工科学(農業)、同(食品科学)、鳩ヶ谷(園芸デザイン)の4校8学科である。
学科数がもっとも多い杉戸農業は、6学科のうち3学科が定員を満たしている。
また、熊谷農業は4学科のうち2学科、秩父農工科学は3学科のうち2学科で定員を満たしている。
【工業】
14校 49学科
▽平均倍率 1.02倍
▽最高倍率 久喜工業(情報技術)1.60倍
定員をほぼ満たしたのが(欠員補充を行わないのが)、浦和工業(情報技術)、大宮工業(機械)、同(電子機械)、川口工業(情報通信)、川越工業(デザイン)、同(建築)、同(機械)、同(電気)、久喜工業(電気)、同(工業化学)、同(機械)、同(環境科学)、同(情報技術)、熊谷工業(建築)、同(土木)、同(情報技術)、越谷総合技術(電子機械)、同(情報技術)、狭山工業(電気)、進修館(ものづくり)、新座総合技術(情報技術)、同(デザイン)の10校22学科である。
久喜工業は5学科すべてで定員を満たしている。
川越工業も5学科のうち化学科を除く4学科で定員を満たしている。
情報技術科は6校にあるが、久喜工業(1.60倍)、越谷総合技術(1.38倍)、浦和工業(1.30倍)、新座総合技術(1.15倍)、熊谷工業(1.03倍)の5校はいずれも定員を満たしており、定員割れは三郷工業技術のみである。
川口工業の情報通信科も1.16倍であり、情報系学科の人気が高いことが分かる。
校名を「〇〇工業」としている学校が8校ある。
創立の古い順に、川越工業(明41)、大宮工業(大14)、川口工業(昭12)、浦和工業(昭36)、狭山工業(昭37)、久喜工業(昭38)、春日部工業(昭39)、熊谷工業(昭41)である。
(注:昭和41年、熊谷商工が熊谷工業と熊谷商業に分離した)
これら伝統的工業高校に共通して設置されているのが電気科と機械科であるが、電気科で定員を満たしたのは川越工業、久喜工業、狭山工業の3校、機械科で定員を満たしたのは大宮工業、川越工業、久喜工業の3校である。
【商業】
17校 30学科(系含む)
▽平均倍率 1.03倍
▽最高倍率 浦和商業(情報処理)1.60倍
市立川越(国際経済)1.60倍
定員をほぼ満たしたのが(欠員補充を行わないのが)、上尾(商業)、岩槻商業(商業)、同(情報処理)、浦和商業(情報処理)、狭山経済(流通経済)、同(情報処理)、所沢商業(情報処理)、同(国際流通)、鳩ヶ谷(情報処理)、深谷商業(商業)、八潮南(情報処理)、市立川越(国際経済)、同(情報処理)の9校13学科である。
情報処理科は10校にあるが、浦和商業(1.60倍)、市立川越(1.33倍)、狭山経済(1.20倍)、所沢商業(1.10倍)、八潮南(1.04倍)、岩槻商業(1.01倍)、鳩ヶ谷(1.00倍)の7校は定員を満たしている。定員を割ったのは、越谷総合技術、羽生実業、深谷商業の3校である。
校名を「〇〇商業」としている学校が6校ある。
創立の古い順に、岩槻商業(大7)、熊谷商業(大7)、深谷商業(大10)、浦和商業(昭2)、大宮商業(昭19)、所沢商業(昭44)である。
これら伝統的商業高校のうち商業科を設置しているのは岩槻商業、浦和商業、大宮商業、深谷商業の4校であるが、浦和商業と大宮商業は定員を割っており、岩槻商業と深谷商業もそれぞれ1.05倍、1.01倍の低倍率である。
なお、熊谷商業は昨年、商業科を総合ビジネス科に改編している。所沢商業は平成6~7年に商業科を国際流通科とビジネス会計科に改編している。人気の高い市立川越は平成14年に現校名となり普通科設置校となるが、それ以前は市立川越商業であった。
工業系では情報技術科に人気が集まっているが、商業系では情報処理の人気が高い。
浦和商業を例にとると、商業科は198人募集に対して受検者は148人だったが、情報処理科は80人募集に対して受検者は128人だった。募集人数に大きな開きがあるのに受検者はほとんど変わらない。これが商業系学科の現状をよく表している。浦和商業の商業科は情報処理科から47人が第二志望合格したので、結果的には195人となったが、それでも3人の欠員補充をしなければならなかった。
【家庭】
4校 8学科
▽平均倍率 1.06倍
▽最高倍率 鴻巣女子(保育)1.18倍
新座総合技術(食物調理)1.18倍
定員をほぼ満たしたのが(欠員補充を行わないのが)、鴻巣女子(保育)、同(家政科学)、越谷総合技術(食物調理)、秩父農工科学(フードデザイン)、新座総合技術(食物調理)の4校5学科である。
農業、工業、商業では、欠員補充を行う学科の方が多いのに対し、家庭は欠員補充を行う学校の方がわずかながら少ない。
欠員補充実施率は、
農業 18学科のうち10学科 55.6%
工業 49学科のうち27学科 55.1%
商業 30学科のうち17学科 56.7%
家庭 8学科のうち3学科 37.5%
【看護】
1校1学科
常盤 1.21倍
【美術】
3校3学科
▽平均倍率 1.23倍
▽最高倍率 大宮光陵(美術)1.48倍
大宮光陵(1.48倍)、芸術総合(1.20倍)、越生(1.03倍)で、3校3学科とも定員を満たしている。
【音楽】
3校3学科
▽平均倍率 1.00倍(0.64倍)
▽最高倍率 大宮光陵 1.00倍(0.93倍)
(注:カッコ内倍率は「合格者÷募集人員」。以下同じ)
美術科とは対照的に、大宮光陵、芸術総合、松伏の3校3学科とも定員に満たず、欠員補充を行う。
【書道】
1校1学科
大宮光陵 1.00倍(0.80倍)
募集40人、受検者32人、合格者32人で、8人の欠員補充を行う。
【体育】
2校2学科
▽平均倍率 1.06倍
▽最高倍率 大宮東(体育)1.11倍
大宮東(体育)とふじみ野(スポーツサイエンス)の2校2学科である。大宮東は80人募集に対し89人の受検者がいたが、ふじみ野は80人募集に対し受検者77人、合格者77人で定員にわずかに足らず、3人の欠員補充を行う。
なお、普通科の中に設けられている児玉(体育コース)、飯能南(スポーツコース)、八潮(体育コース)はいずれも定員を割っているが、川口市立(スポーツ科学)のみ1.50倍の高倍率となっている。
【福祉】
1校1学科
誠和福祉 1.00倍(0.63倍)
募集80人、受検者50人、合格者50人で、30人の欠員補充を行う。
【人文】
1校1学科
春日部東 0.55倍
募集40人、受検者22人だったが、普通科から18人が第二志望で合格し定員40人を満たしたため欠員補充は行わない。
【国際文化】
1校1学科
岩槻 1.08倍
【映像芸術】
1校1学科
芸術総合 1.10倍
【舞台芸術】
1校1学科
芸術総合 0.97倍
募集40人、受検者35人、合格者36人で、4人の欠員補充を行う。
合格者が受検者を1人上回るのは美術科から1人が第二志望で合格しているためである。
【生物・環境系】
1校2系
▽平均倍率 1.04倍
▽最高倍率 いずみ(環境系)1.05倍
生物系は119人募集に対し、受検者123人、合格者119人である。
環境系は119人募集に対し、受検者125人、合格者119人である。
以上、専門学科についてであるが、総合学科も見ておこう。
【総合学科】
9校9学科
▽平均倍率 1.02倍
▽最高倍率 川越総合 1.10倍
定員をほぼ満たしたのが(欠員補充を行わないのが)、川越総合、久喜北陽、滑川総合、吉川美南の4校4学科である。
9校9学科のうち、誠和福祉には福祉科、進修館には工業系学科が併置されている。吉川美南には昼間定時制と夜間定時制が併置されている。
小鹿野は、旧小鹿野(普通科)からの転換。
久喜北陽は、当初より総合学科校として開校。
滑川総合は、旧滑川(普通科)と旧吉見(普通科)の統合。
寄居城北は、旧寄居(普通科)と旧川本(普通科)の統合。
幸手桜は旧幸手(普通科)と旧幸手商業(商業科)の統合。
川越総合は旧川越農業からの転換。
以前にもこのブログでレポートしたかと思うが、学校に一歩入った瞬間、誰もが「ここ、農業高校?」と思うだろう。普通科からの転換や普通科同士の統合でもないし、他学科の併設でもない。農業高校がそのまま総合高校になった。その分農業色は薄まったが、農場を維持するなど今なおその面影を色濃く残す。比較的安定した募集を続けているのは特色がはっきりしているからだろう。
旧川越城下町の一角にあり、道路一本はさんで「天台宗別格本山星野山無量寿寺中院」がある。北院(喜多院)ほどには知られていないが、由緒ある寺院であり、桜の季節がお勧めである。
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