またもや女性差別問題にすり替えるのか。東京五輪開会式・閉会式の演出を担当するチームの総合統括である佐々木宏氏が辞任した。
 タレントの渡辺直美さんをブタに見立てた演出案を提案したことが発覚し、その責任をとったもの。

 数々の名作CMを世に送り出した佐々木氏にしては実につまらん企画だ。
 渡辺直美とブタなんて私でも思いつく。
 これはただの冗談だろう。
 LINE上の会話だったようだし。

 開・閉会式の演出は普通、極秘で進められるものだ。
 アッと言わせてナンボというやつだ。
 事前に分かってしまったら面白くもなんともない。
 そんなマル秘事項をグループ内とは言え、LINEでやるか。
 LINEが機密保持という点で脆弱なのは今初めて分かったことじゃない。

 で、この企画(というほどでもないが)は他のメンバーから一蹴されて取り下げた。
 当然だ。
 まあ渡辺直美さんのことだから、どんな企画が持ち込まれようとプロ根性出して引き受けそうな気もするが、喜ぶのは日本人のごく一部だろう。

 驚いたのは、この一件、つまりブタ企画が出されたのは去年の3月だったということだ。
 てっきり最近の話かと思ったら、1年前の話じゃないか。
 五輪がらみのスキャンダルを必死に探しているマスコミの餌食になったというわけだ。
 しかも女性差別、女性蔑視に話を持っていける格好のネタだ。

 開・閉会式の総合演出チームを昨年まで率いていたのは狂言師の野村萬斎氏だ。
 歌手の椎名林檎さんなどもメンバーに加わっていた。
 が、このチームは昨年の12月末に解散した。

 つまり、東京五輪組織委員会は、この時点で、開・閉会式の企画演出を簡素化する方向に舵を切ったわけだ。
 野村萬斎氏や椎名林檎さんが演出する開・閉会式はぜひ見てみたいものだが、簡素化される開・閉会式では腕の見せどころがない。
 それで残念ながらこれまでの演出チームは解散となり、新チームの下で簡素な開、閉会式企画を練ることになった。
 そのチーフに就任したのが佐々木氏である。
 まあ、面白くもなんともない話である。

 しかし、1年前の内輪話を女性差別・女性蔑視とからめてスキャンダルに仕立て上げたのはお見事。
 マスコミの、この企画力はすばらしい。
 どうせオリンピックは中止か延期になるだろう。
 だったら今のうちに不祥事でも何でもほじくり出して視聴率を稼ごうというところだろう。
 勝手にやってろ。