文部科学省は12月27日、令和4年度の各都道府県の高校入試実施方法などの調査結果を発表した。
 
 令和4年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査 (公立高等学校)

 これを受けて、読売新聞は次の記事を掲載した。
中学生の部活実績、内申書で12県が点数化…文科省「活動の過熱化招く可能性がある」
 
 読者受けを狙ってか読売の記事は調査書における部活評価の話題に終始しているが、むろんそれ以外についても調査している。
 主な調査項目は次のとおり。
1 受験機会の確保について
 (コロナ対応など)
2 選抜方法
3 帰国生・外国人の編入学
4 入試方法の改善への取り組み
5 入試ミス

 2の選抜方法では「志願者が定数に満たない場合の対応」というのがある。
 本ブログでも、個人的に調べた限り、埼玉県では定員に達しない場合は全員合格であるという記事を何度か書いているが、今回の調査でもそれを裏付ける結果が出ている。
 だが、他県の状況までは分からなかったので、その点は参考になった。
 

 「原則として定員内不合格は出さないよう取り扱っている」としているのは、埼玉県を含む22都道府県であった。
 また、「定員内不合格を出す場合は「教育委員会との協議を要する」としているのは、埼玉を含む15道府県であった。
 これに対し、「各校長の判断に委ねられている」のが東北6県をはじめ全部で19県と意外に多かった。

 もちろん、原則として定員内不合格を出さないとしている都道府県でも、実際には不合格が出ているケースはある。それが分かるのが次の資料だ。
 
 埼玉県は定員内不合格は「0」である。
 他には、東京、神奈川、愛知、滋賀、大阪が「0」である。

 定員内不合格を出した学校数を見ると、福岡(36校)、広島(35校)、静岡(32校)、愛媛(32校)、山口(29校)などが多い。
 また、定員内不合格者(のべ人数)を見ると、高知(182人)、福岡(148人)、山口(131人)、宮城(108人)、広島(95人)などが多い。

 中に「把握していない」と回答している県もある。青森、山形、福島、群馬、佐賀、沖縄であるが、これはちょっとまずいだろう。

 以上が定員内不合格についてだが、個人的にはもう一つ意外だった結果がある。
 英検についてだ。
 調査項目の中に、「外国語の外部試験の結果を用いた選抜② 一般入試の合否の判定に際して外国語の外部試験(英検等)の結果を活用すること」というのがある。
 調査結果を見ると、一般入試の合否判定で英検等の結果を活用したのは、埼玉、千葉、大阪、岡山の4府県だった。実施学校数は埼玉が144校、千葉が36校、大阪が151校、岡山県が15校。大阪府は、英語の学力検査を行っているすべての学校、学科で実施した。

 この調査では、この他に面接、小論文(作文)、実技試験の実施状況なども調べている。
 公立入試では他県の情報は原則要らないのだが、全体を眺めてみると埼玉県の特徴も浮かび上がってくる。
 それほど膨大な資料というわけもないので、一度ご覧になるといいだろう。