人生100年時代。テレビでは紹介されるが、私の身近には100歳近くになって働いている人や、自分の足でスタスタ歩いている人はいない。
 だが、そういう驚異の100歳を目の当たりにしたのが、月曜日のことだ。実際には97歳だが、このへんまで来ればアバウト100でいいだろう。

 月曜日のブログでも書いた鮫島純子(さめじま・すみこ)さん。1922年(大正11年)生まれ。
 京都某所での講演。

 介添えもなく杖もつかず、しっかりとした足取りで会場に現れた。一瞬、これは先導の方?と思ったほどだ。
 紹介され、マイクを手に話し始める。背筋がピンと伸びた美しい立ち姿。一体どんなトレーニングをしているのだ。

 ステージには椅子が用意されている。どこかのタイミングで「座らせていただきます」となるのだろう。
 が、5分たち10分経っても一向に座る気配を見せない。20分経過。どうやら立ったままで最後まで行くつもりのようだ。一体どんなトレーニングをしているのだ。

 滑舌がいい。語尾もしっかり聞き取れる。話がループしない。たぶん同じテーマで何度も講演されているに違いないが、それにしても淀みがない。
 私は最近、人前で話していて、瞬間言葉に詰まるという経験をするのだが、それに比べ何と滑らかな語り口だろうか。一体どんなトレーニングをしているのだ。

 ある本を読んで強く影響を受けたと話されていた。著者を訪ねて行ったとも。
 訪問先は千葉県市川市。名前は出さなかったが、話の内容から、その著者とは白光真白光真宏会の創始者・五井昌久氏と思われる。
 が、それはどうでもいい。前々日、白山神社で正式参拝し、前日、天台宗の寺を詣で、この日の午前中、真言宗の寺に参ってきた私だ。宗教に関しては間口が広いのだ。

 話の中にチラッと越智啓子さんの名前が出てきた。少々怪しげな人物と見えるが、怪しげという点では私も人後に落ちないので、怪しげには寛大だ。

 まだ携帯電話のない時代、今で言う振り込め詐欺に遭ったエピソードには笑った。銀行通帳を全部だまし取られたそうだ。それでどうやって生きてきたのかと思うが、そこは500社以上の企業設立に関わった渋沢栄一の孫だ。株式という手があるではないか。などと下らん想像をしてしまうところが貧乏人の悲しさだ。

 質疑応答で健康の秘訣を問われ、「歩くこと。姿勢よく歩くこと」。これは納得。
 「今でも明治神宮で歩いています。祖父は本多清六博士らと共に明治神宮の建設にも尽力しました」
 今日の聴衆の多くは京都人。
 な、聞いただろ。渋沢栄一は現深谷市出身、本多清六は現久喜市出身。埼玉なめんなよ。

【2023年(令和5年)2月追記】
 鮫島純子さんは2023年(令和5年)1月19日、逝去された。
 享年100。