私はマラソンを走るが、見るマラソンの方はあまり興味がない。今日行われたオリンピック選考レースも、テレビ中継は見ず(その時間は外で走っていたので)、後でネットでチェックした。

 開会式の国歌斉唱ではコブクロの小渕健太郎さんが、いきなり笑いを取っていた。選手の緊張をほぐそうとしたんだろう。

 男子レースは、設楽悠太選手(埼玉・武蔵越生高校出身)の大逃げで始まった。本人の宣言通りだ。
 確実に代表権を獲りに行くなら集団の中でチャンスをうかがうべきだろう。持ちタイムで負けているのは大迫傑選手だけなのだから。だが、それをしないのが、ちょっと変人の設楽選手らしいところだ。川内優輝選手といい、よく言えば常識にとらわれないのが埼玉県出身選手ということにしておこう。

 設楽選手はすでに前回リオ五輪に出場している(1000m)、オリンピアンである。「出るだけなら、僕もう出てますし。次出るならメダル獲らなきゃ意味ないですから」と、言ったかどうか分からないが、代表に入ることが目標の他の選手とは一線を画したかったものと想像する。
 実際、あれくらいのペースでぶっ飛ばさないと、アフリカ勢のスピードには太刀打ちできないだろう。逆に言えば、今日代表に決まった選手たちは、本番では20キロか25キロあたりではすでにトップ集団から脱落していると予想される。

 大迫選手が持つ日本記録2時間5分50秒は、世界歴代では80位から90位ぐらい。2016年以降の記録で見ても40位ぐらいだ。世界はもう、いつ2時間を切るかという時代に入っているのだ。
 今日の上位3人は2時間11分台。暑さや終盤に上り坂が多い難コースという点を差し引いても、このタイムでは残念だが世界では通用しそうもない。
 過去の常識にとらわれない設楽選手のような、ちょっと変わった選手があと2、3人は出てこないとメダルは望めない。