賞味期限切れのパンフを配るのはやめようじゃないか。各学校が作っている学校案内パンフレットの話だ。
 入試はこれからが本番だが、われわれ〝業者〟は早くも次年度に向けて動き出しているのである。

 年度末、年度初めの学校は忙しい。特に新入生を迎える4月。この忙しさが1年中続いたら、過労死で教員は絶滅してしまうのではないかと思うほどだ。学校案内パンフの制作は、そういうさなかの仕事なので、あまり厳しいことを言うのは忍びないが、その上で、やはり言っておかなければならない。
 賞味期限がとっくに切れた廃棄物同然の昨年版パンフを、新しいお客さんに配ることはやめよう。
 学校と食品業界を一緒にするつもりはないが、これはどう考えたってお客さんに失礼だ。

 話は単純だ。早く動き出すことだ。
 年明けすぐにスタートし、2月3月とふた月を使えば、4月には新しいものができる。公立の場合、校長の異動があったりするので、その部分は新年度を待たなければならないが、他は旧年度内にほぼ完成まで持って行ける。

 学校案内パンフの位置づけ、役割、使い方についても発想転換が必要だ。かつて学校案内パンフは唯一最大・最強の武器(募集ツール)だった。紙媒体全盛時代だ。
 だが今は、ネットがある。最新かつ詳細な情報はウエブサイトで発信できる。しかも、画像・音声・動画付きで。
 さらにSNSもある。Facebook、Twitter、Instagram、LINEと使い放題。

 〝業者〟としては、あまり言いたくないのだが、学校案内の重要性は以前に比べ、ずっと軽くなっている。そういうものに、従来と同じように金をかけ、時間をかけ、人手をかけるのは、どう考えても合理的ではない。
 もちろん、紙媒体が力を発揮する場面もあるわけだから、それがどんな場面かを想定した上で、それに合わせたものを作ればいい。ありとあらゆる情報を「全部載せ」(てんこ盛り)にしたパンフは、今の時代、必要ない。

 今は原則引き受けないことにしているが、以前は公立高校のパンフも結構作らせてもらった。その場合、制作期間が異常に長くなることがある。妙に細かいところにこだわる先生がいるからである。制作期間が長くなるということは、〝業者〟側から見ればコストである。長くなればなるほど利益が失われて行く。
 われわれ〝業界〟常識では、校正は2回か3回だ。それで見積もりを出している。ところが、5回、6回、7回と果てしなく校正が続く。しかも、その都度新しい修正が入る。
 「この文字、あと2ミリぐらい右に寄せられませんか」。

 って、テメエ何言ってんだ。それで生徒が増えるんだったら、上下左右どこだって動かしてやるよ。いいか。戦いはもう始まってるんだ。パンフは武器だ。だから強い武器を作った方がいい。だがな、雌雄が決した頃にノコノコ出かけて行っったんじゃ、最強の武器も持ち腐れだよ。武器はそこそこでいい。後は使い方だ。さっさと作って、一刻も早く戦場に出て戦え。つべこべ言ってんじゃねえ。
 と、さすがにこの通りには言わないが、ココロはそういうことだ。

 以上。相変わらず上から目線が抜けない〝業者〟の暴言だ。