まだスタートしたばかりで、記事も少ないが「埼玉新聞社 高校受験ナビ」というサイトがある。
 来週月曜日にアップされる予定の記事に「国公立大学の合格ランキング」(仮)というのがあって、それを書くためにいくつかと高校の進路実績をWEBサイトで確認した。
 昨日の話題はその副産物である。

 その高校受験ナビの記事にも書いたのだが、国公立大学の合格件数というのは、かなり合格実人数に近い。
 たとえばの話、「東大10」とあれば、10人が受かったのだ。5人で頑張って10というのはない。入試の制度仕組み上、それは出来ないことになっている。
 かつて一度だけあったと記憶しているが、一人の受験生が「東大1 京大1」を稼ぎ出すこともできない。

 前期日程と後期日程の間に中期日程を設定している公立大があったり、センター試験(今後は共通試験)の結果だけで合否判定し、個別入試を行わない大学があったりと、イレギュラーな部分もあるので、それらを使って合格者を増やす裏ワザもあるのだが、国公立大学の場合は、だいたいにおいて合格件数≒合格実人数となる。

 それに対し、私立大学の方は「慶応2 早稲田2 上智2」と言っても、これはのべ合格件数であって、これを実現したのは、2人の生徒かもしれない。極端な場合、1人ということだって有り得る。
 これでは実態がつかみにくい。
 では、合格者ではなく実際の進学者(入学者)で表記すればいいじゃないかとなるが、もしこの生徒が全部蹴って浪人したら「慶応0 早稲田0 上智0」となる。
 これはこれで実態不明となる。

 全員を納得させる表記方法とは、なかなか難しいものである。
 だから、いつも言っているように、せめて「現役・浪人別」、「一貫・高入別」、それとできれば「進学者数」というぐらいにはまとめて欲しい、と、個人的には思う。

 たとえば公立だと浦和の場合、合格者と進学者が確認できる。
 浦和一女はもっと丁寧で、現役浪人別の合格者・進学者が確認できる。だから、それを見ると、「さすがに国立は合格したら皆進学するんだな」とか、「早慶だと進学者数が合格者数の半分だから、一人で2つ受かってどっちか蹴ったか、受かっても行かない子もいるんだろうな」とか、「明治や立教は合格者数と進学者数がかけ離れているから、すべり止めで受けてる子も多いんだろうな」とか、いろいろ推測することができるわけである。
 ま、このあたりは伝統校の矜持とでも言えばいいのだろうか。いつまでも伝統に胡坐をかいているとあっという間に没落するが、この潔さは誉めてやる(←いつもの上から目線)。

 その点、県内私立は、まだまだ見かけを良くすることに汲々としておるな。
 張りぼて(ハリーポッターじゃないぞ)とは言わないが、裏側に回ってみると普請の粗が垣間見れる。
 しかしこれは、歴史の浅い新興勢力としてはやむを得ぬところだろうと、この点について私は意外と寛大なのである。
 ただ、嘘はいけない。
 そんなことはしてないはずだが、そこだけは注意してほしい。

 真実をさらけ出して嫌われるのが恐いか、後で虚偽がバレて信用失墜するのが恐いかと言ったら、どう考えたって恐れるべきは後者だろう。

 事実は一つしかないが、表現や見せ方は様々だ。
 では、どう表現し、どう見せるかだが、それは自分を逆の立場(相手の立場)に置き換えてみれば、割と簡単に結論は出るだろう。
 「そりゃあないだろう」と思うようなことはやめとけ、ということだ。