4月は異動の季節だ。新聞に学校の先生の人事異動が載るが、さすがにこの年になると知らない名前ばかりだ。
 まあ、同期生が60歳で定年退職したのが10年前だから、そうなるだろう。

 私は教員経験はあるが管理職経験はない。
 もしなっていたらパワハラで訴えられる可能性が高い。
 上から力任せに行くタイプだからだ。
 ならなくて正解である。

 そんな私が校長や教頭といった管理職にアドバイスしても説得力に欠ける。
 と、その点は自覚しつつ、ひとこと言わせてもらおう。

 テーマは改革、ないしは改善である。

◆死後、評価されるのだ
 新しくその立場に就いたら、誰だって改革や改善を考える。
 今まで通りでいいやというなら、何のためにトップに立ったんだということになる。
 自分の見栄とかではなく、使命として改革・改善に取り組むべきなのである。
 組織は生き物である。
 何もしなければ腐る。
 一瞬の停滞も許されない。
 改革に次ぐ改革、改善に次ぐ改善こそが唯一生き延びる道である。

 自分の名誉とか名声とか、そんなものは関係ない。
 もし人から讃えられることがあったとしても、それは自分が去った後である。
 もしかしたら引退後、下手すりゃ死後だ。

◆前任者を否定するなよ
 新しい学校に行くといろいろ「粗(あら)」が見えてくるものだ。
 その気持ち、いや、その目は大切にしよう。
 忘れないうちにメモしておいたほうがいい。
 100個ぐらいはすぐに見つかるだろう。
 見つからないのはその学校に問題がないんじゃなく、自分の見る目がないのだ。

 なんで、こんなやり方をしてたんだ。
 そう思うことも多いと思うが、安易に前任者を否定してはいけない。
 考えてもみろ。
 簡単に変えられるんだったら、前任者だってとうの昔に変えてるよ。
 それが出来なかった事情があるはずだ。
 慎重さを欠かないように。

◆正に「教師のバトン」だな
 最近流行りの「教師のバトン」。
 特に公立の校長なんてものは2、3年サイクルで替わっている。
 5年も10年も続けるもんじゃない。
 あなたの役割は、前任者から受けたバトンを間違いなく次に引き継ぐことだ。

 人が替わるたびに前任者のやり方を全部ひっくり返していたんじゃ、前に進まない。

 これは前々から言っていることだが(ブログのどこかに書いてある)、7割は継続で、改革・改善はせいぜい残りの3割だ。
 それでも多すぎるくらいだ。

 それに、校長と言ったって、学校が自分のものになったわけじゃない。
 生徒・保護者にとっても「私の学校」
 先生たちにとっても「私の学校」
 卒業生にとっても「私の学校」
 過去の先生方にとっても「私の学校」
 学校には、そういういろいろな人の思いが詰まっている。

 だから、ちょっとした思いつきで変えてはいかんのだ。

 が、前述したように組織には絶えざる改革・改善が必要であるから、あまり慎重になり過ぎてもいけない。
 このあたり経験がない私には力の加減が分からないので、他の経験豊富な人たちにアドバイスをもらおう。

◆今すぐの評価か、後日の評価か
 繰り返し言う。
 今すぐ、「今度の校長(教頭)は良い人だ」と言われたいか。
 それとも。
 数年後、その学校を去った後で、「前の校長(教頭)は良かった」と言われたいか。

 両方!

 そりゃそうだろう。
 でも、どっちか一方と言われたらどうかという話だ。

 昔、一教員として担任や顧問をやっていた時代を思い出してみな。
 ガキどもに生徒に「良い先生」と言われるより、大人になった卒業生から「今があるのは先生のおかげ」と言われたほうが100倍嬉しいだろ。
 それと一緒だ。
 目先の評価に踊らされるな。

 ということで、いつもの上から目線であった。