政治家や役人は、「やってますポーズ」がお得意なようで、またまたおかしなルールが登場しそうだ。
 昨日のニュース。  
「生徒と私的SNSやりとり禁止」「密室での指導回避」…文科省が「わいせつ行為」対応指針(読売新聞)
 9日、文部科学省はSNSの私的なやりとりの禁止や密室状態での指導の回避などの「対応指針」をまとめ、全国の教育委員会に通知した。
 lineなどで私的なやりとりを交わしているうちに親密になり、わいせつな行為に及ぶケースが多いからということだ。

 何度か書いているように、昨年度、わいせつ行為等で処分された教員は、たったの273人だ。
 敢えて、「たったの」と言う。
 全国には100万人以上の教員がいるから、稀にそういった不届き者もいるだろう。
 99.9%の教員はわいせつ行為とは縁がなく、至極真面目に職務を遂行している。
 わいせつ教員が多数存在しているかのような印象を持つのは、教員のわいせつ事案はニュースに取り上げられやすいためである。

 しかし。
 少数だからいいというものではない。
 あってはならないことだ。
 ゼロでなければいけない。
 と考える人もいる。

 むろん、この考え方は間違ってはいない。
 殺人や強盗や窃盗や詐欺だって、少ないからいいだろうとはならないわけで、それと同じことだ。

◆もともと私的なやりとりなどしていない
 文科省や教育委員会に言われるまでもなく、教員は児童生徒との私的なやりとりには慎重である。
 というより、そもそも業務遂行上、私的なやりとりなど必要としていない。
 
 元々していないのだから、禁止の通知が出てもどうということはない。
 より慎重にと気持ちを引き締めるだけだ。

 ただ、世の中の動きというのはおかしなもので、いつの間にか拡大解釈されるようになるのである。
 まず、「私的SNSやりとり禁止」の「SNS」が取れて、「私的やりとり禁止」となるであろう。
 次に、「私的」も取れて「やりとり禁止」となるであろう。

 わいせつとは無関係な先生方にはお気の毒だが、「SNSじゃないから」とか「私的なものじゃないから」という理屈は通じなくなる。
 ごく一部の不届き者のために大変不便になるが、我慢しよう。
 そして自己防衛のために、合わせて生徒を守るために、「一対一の指導」は極力避けるようにしよう。
 一番いいのは授業以外で生徒と関わらないことだが、さすがにそうは行かない。
 
 自分ではシロの認識でも他人にはグレーと映るかもしれない。自分でグレーは他人からは間違いなくブラックである。
 今回の通知を、生徒との関わり方を見直す機会として受け止めよう。

◆また別の方法を考えるだけだ
 良からぬことを考える輩は、通知ぐらいじゃビクともせんぞ。
 また別の方法を考えるだけだ。

 SNSがイジメに使われている。
 じゃあそれを禁止すればイジメがなくなるか。
 手段の一つを奪ったところで減るもんじゃない。
 それと同じ。

◆先生は出会い系バーに行け
 文部科学省による最も説得力のある通知は、先生は出会い系バーに行け、である。
 先生は生徒に手を出してはいけない。
 生徒を利用して自分の欲望を満たそうとしてはいけない。

 世の中には出会い系だのキャバクラだのと、欲望のはけ口はいくらでもある。
 そこへ行けば、女性の貧困問題だって学べる。
 先生は世間知らずの汚名を晴らすこともできる。

 と、まあ、これは冗談だが、「先生が」、「校内で」、「児童生徒を相手に」というところが問題なのであって、「先生が一人の大人として」、「校外で」、「玄人の大人を相手に」であれば、大した問題にはならない。
 しかし、そのためには、先生を24時間365日、学校に縛りつけてはいかんな。
 これでは校外に出る暇もないし、どうしたって校内で済まそうとする。
 
 職場では仕事一筋。
 趣味と遊びは校外で。
 これを可能にする改革を進めたほうが早いんじゃないか。

 【余談】
 古くからの本ブログ読者諸氏は記憶の片隅にあるかもしれないが、3年前の3月(旧ブログ時代)、「後川先生」云々というタイトルの記事を書いた。
 昔、文科省に似た名前の方がいた。
 Bingで「後川先生」と検索すると、この記事がトップ表示される。
 GoogleやYahoo!で同じく「後川先生」とやってみると、トップではないが、かなり上位表示される。
 一日中調べて苦労して書き上げた記事がたいして読まれず、面白半分で書いたテキトーな記事が読まれる見本みたいなものだ。