広島県立高校の入試では、数学で作図問題が出ないのか。ということを最近のニュースにより初めて知ったわけである。
関東地方だと、わが埼玉県のほか東京・千葉・群馬・栃木・茨城は作図問題があり、作図が出題されないのは神奈川県だけだと思う。
遠く離れた広島県立の問題まではチェックしないから初めて知った。
で、ニュースというのはこれだ。
机上にコンパス、校長判断で受験無効 広島県立高校入試(朝日新聞4月13日)
要点は。
1 広島県公立高一般入試を受験した複数の生徒が、コンパスを机の上に置いた行為が不正に当たるとして受験が無効になった。
2 コンパスは入試要項で持ち込みが認められていなかった。
3 携行品については当日の配布文書と校内放送で注意を促した。
4 受験生は7人、監督者は2人いて、開始10分後、監督者が机上のコンパスを没収した。
5 受験生は数学の前の国語・社会の時間にもコンパスを机上においていた。
6 数学の試験はそのまま受けさせた。
7 夜になり受験無効を電話で伝えられ、2日目の試験は受けられなかった。
8 県教委は「試験前に注意する義務はなく、入試要項にのっとった対応」としている。
9 また、受験無効は撤回しないが、再発防止を図るとしている。
なお、募集要項には次のような記載がある。(太字は筆者による)
【携行品】
受検票,鉛筆,鉛筆削り,消しゴム,定規(分度器のついた定規,三角定規は不可),時計(計算機能又は英和和英機能付きのもの等は不可)
※携帯電話等,その他一般的に考えて,検査問題の解答上有利と考えられるものは,検査場内への持込み及び使用はできない。
※万一,検査開始後に,検査場内に携帯電話等持込みが認められていないものを持ちこんでいることが発覚した場合,不正行為とみなし,退出させ,それまでの受検は一切無効とするとともに,その後の受検も認めない。
さてこの一件、学校の対応のどこが問題だったか。
募集要項に明記され、当日校内放送までしているのだから、最初の国語の時間に退出させ、その後の受検を認めるべきではなかった。
わずか7人の受検者で、監督者が2人いたのだから、見逃すことは考えにくい。
監督者は受検者からの質問以外、自分の判断で何か話してはいけない。
そういうマニュアルになっているはずだ。
ただ、もう一度、カバンの中にしまうように注意してやってもよかった。
それに従わなければ不正行為として退出させてもかまわない。
次の社会の時間。
ここでの対応もまずかった。
コンパスを机上におくことが不正行為に当たらないと認めたも同然だ。
そして数学の時間。
ようやく没収するが、持ち込んでいること自体が不正行為なのであるから退出させるべきだった。
しかし、その後も試験を受けさせた。
というわけだから、報道されている範囲で判断すれば、たしかに学校側に不手際があった。
ただ、受検者側も決められたルールを守っていなかった。
よって、試験をやり直せといった主張には無理がある。
と、だいたいこのようなまとめになる。
今回の件とは直接関係ないが、ネットで広島県のことを調べている中で、教育長が民間人出身ということを知った。
平川理恵氏。
リクルート出身。
2010年に横浜市の公立中学校で民間人校長となり、その後、広島県知事にスカウトされて教育長に就任した。
民間人校長は、教室を知らない。児童生徒も知らない。
知らない分だけ、大胆かつスピーディーな改革には適している。
先生出身の教育長は、なまじ現場に精通しているものだから、改革には慎重だ。
私は元々が教員だから先生出身者の専門性と安定感を支持するが、たまには異なる血を注入するのもいいかもしれない。
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