石破内閣暴走、いや迷走か。
 予算を通したいがために日本維新の会の政策を丸呑みし、高校授業料の無償化(所得制限の撤廃)へ。
 そして、「私立が有利ではないか」との声が高まると、今度は公立受験単願制の見直し。

公立高受験「単願制」見直し、複数校の志望可能に…石破首相が「デジタル併願制」検討指示(讀賣新聞オンライン)

 教育に関して定見というものがないわけだ。
 無償化にしても単願制見直しにしてもたしかに世間受けはいい。
 だが、入試制度をいじくりまわしたって教育そのものがよくなるわけじゃない。

 さて、高校入試の単願制を廃し、デジタル併願制を導入する件。
 この話自体はいま急に出てきたものではない。
 入試実務等のデジタル化と合わせて、デジタル庁が検討を進めてきた。
 マイナンバーカードと同じ。
 いろんなところにデジタルをぶち込むのがこの役所の仕事だ。

 文部科学省はそれほど積極的ではないようだ。
 先月の文部科学大臣記者会見であべ俊子大臣は「受け入れ保留アルゴリズム方式については詳細を把握しておりません」と述べている。
 また、「入学者選抜におきましては生徒の個性を多面的に捉えることなども重要でございまして、例えば点数のみにより進学先が決定される場合には課題も考えられます」と、導入にやや否定的ともとれる発言をしている。

あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年3月14日)
記者)
 公立高校入試改革についてお尋ねします。河野太郎衆議院議員がSNS上で公立高校入試の単願制について、生徒の学校選択に不公平、非効率な状況を生み出していると指摘していて、その解決策として「受け入れ保留アルゴリズム」方式などのデジタルシステムを導入していくべきと主張しています。あべ大臣も単願制の改革を進めると訴えたとありますが、本件について今後の改革の方向性、今後の改革の方向性について教えてください。
大臣)
 今、アルゴリズムもおっしゃいましたか。
記者)
 そうです。
大臣)
 分かりました。公立高校の入学者選抜の実施方法に関しましては、出願方法やデジタルシステム導入の可否を含めまして、実施者である各都道府県教育委員会等が決定するものでございますが、その具体的な実施方法等については様々な御意見があるものと承知をしておりまして、私どもとしても課題意識を持っているところではございます。文部科学省におきましては、受験機会の複数化、また選抜方法の多様化などへの配慮に加え、デジタル技術の活用など入学志願者の利便性の向上、また実施者及び教職員の負担軽減に資する取組については、実情に応じてさらに推進していただくよう依頼をしているところでございます。一方で、いわゆる高校無償化をめぐる議論の中におきまして、高校入試を含めた公立高校のあり方が改めて問われているということもございまして、今後、文部科学省としても考えていきたいというふうに思います。また、お尋ねの「受け入れ保留アルゴリズム」方式については、詳細を把握しておりませんが、この入学者選抜におきましては生徒の個性を多面的に捉えることなども重要でございまして、例えば点数のみにより進学先が決定される場合には課題も考えられます。このことも踏まえた検討が必要になるのだというふうに考えているところです。以上です。

 いずれにしても、あべ大臣も述べているように、入試選抜の方法等については各都道府県教育委員会等が決定するものである。
 文部科学省ましてやデジタル庁が何を言おうと、そんなに急に変えられるものではないのである。
 ただ、政策というものは世の中の雰囲気に影響される面も大きいので、「単願制は不公平」「単願制が諸悪の根源」という風潮になれば、各教育委員会としても無視できなくなるだろう。