全体の遅れを取り戻すことはできても、この2か月余りで付いてしまった個人間の差は容易には解消されない。ここ理解できていない人、意外と多そうだ。
本ブログ読者は先生及び教育関係者がほとんどと思われるので心配ないが、保護者の中には学校が再開されれば、それで遅れが挽回されて万々歳と思っている呑気な人も多いようだ。
全体の遅れを取り戻すには、夏休み短縮、土曜授業実施、行事の精選といった方法で、時数増加を図ればいい。また、先生だったら皆そうすると思うが、授業進度を早めるという方法を取ればいい。時速30㎞の低速運転から50㎞、60㎞に加速することで、遅れはかなり回復できる。
だいぶ下火になったが、9月新学期推進派が「9月からのゼロスタートにすれば、休校が長引いたところと短くしたところの格差は最小限に抑えることもできる」などと言っているが、1年が1年半に延びれば、延びた分だけ格差が拡がってしまうことに気づいていない。
◆個々の学力差は教室でついてるんじゃない
教室、すなわち授業中と、それ以外の時間と場面でついている差とではどちらが大きいか。答えは明らかで、圧倒的に教室外、授業外で差がついている。もともと授業というものは、大差がつかないように配慮して行われているのだから当然だ。
平時において、同じ先生が、同じように教えたって差がつくんだよ。その差は、家庭での学習、自学自習力の差がもたらすんだよ。家でついた差は教室では取り戻せないよ。それどころか、より拡大されてしまうよ。
このことを、もう一度、親や本人に伝えてやらなければならない。特に学校さえ始まれば全てが解決すると思い込んでいる親たちに。
◆オンライン授業の役割と限界
オンライン授業の今のところの役割は、全体の遅れを最小限に食い止めることだけだ。先生側は個人差がつかないように配慮はするが、集中度や理解度に個人差が生じる。
だから、うちの学校は、うちの塾は、オンライン授業があるから安心というものではない。オンライン授業は仮想教室であり、教室では挽回不可能なほどの大差はつかない。差がつくのはそれ以外の場、それ以外の時間である。
学校の授業がない今、自学自習力が問われているのだ。また、自学自習力を鍛える絶好の機会でもあるのだ。
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