今日は緊急事態宣言の話。
 新聞などでは新型コロナ特措法などと略している場合があるが、正確に言えば、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案」というものが今回成立したのである。

◆「緊急事態宣言」含む特措法は民主党政権下で成立
 野党が徹底抗戦するかと思いきや、割とあっさり賛成したのは(山尾志桜里議員を除いて)、改正前の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が2012年(平成24年)の民主党政権時代に成立したことと関係ありそうだが、そのあたりはよく分からない。
 この法律は、当時与党であった民主党も、野党であった自民党も、共に賛成して出来た法律ということもあり(自民党は衆院賛成、参院は審議拒否中で欠席)、それほど話題にはならなかった。

◆特措法にはもともと「緊急事態宣言」があった
 いま注目されている「緊急事態宣言」というのは、当初からこの法律に含まれていたものである。
 と、偉そうに書いているが、恥ずかしながら私は、今回の一件で知ったのである。
 なお、条文にはあっても、これまで「緊急事態宣言」が発せられたことはない。

 では、今回何が変わったのかというと、「新型インフルエンザ等」の中に、新型コロナウィルスによる感染症を含められるように改正したのである。「一部を改正する法律案」というのはそういう意味だ。
 今回、新型コロナウィルスによる感染症を、いわばインフルエンザの一種と見なしてしまえば、「緊急事態宣言」を行うことが可能になるわけである。
 まあ、宣言する気満々というところだ。

 明日、安倍総理の記者会見が予定されているが、その場でというのはないが、「緊急事態宣言」を行う可能性くらいは示唆するものと思われる。

◆本当に新型コロナ収束のためなのか
 内閣総理大臣により「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」を行うと、都道府県知事は住民に対し、外出の自粛を要請できる。また、罰則こそないが、多数の者が利用する施設(学校、劇場、映画館など)の使用制限・停止又は催物の開催の制限・停止を要請することができる。
 すでに北海道知事が「緊急事態宣言」を出しているが法的根拠がない。先般の安倍総理による学校一斉休校の要請も法的な裏付けがない。それでもこの騒ぎであるから、法的な裏付けのある要請が出されたら、どんなことになるか。心配である。

 まさか、新型コロナに乗じて、国民の「緊急事態宣言」慣れを狙ってるんじゃないだろうな。東日本大震災のとき、別の法律に基づく「緊急事態宣言」が発令されたことがあるが、こういうのは最初のうち抵抗感があっても、回を重ねるごとに慢性になってしまう。

 一刻も早く終息して欲しいと願う気持ちは誰も同じだと思うので、そのための「緊急事態宣言」だと言われれば、つい受け入れてしまいそうになるが、なにせ官僚や政治家は、私のような素人が思いもよらぬことを考えつく人種であるから、少しばかり警戒心をもって見たほうがいいかもしれない。