募集定員を増やす学校から「どんな募集にすればいいと思いますか」とのお尋ね。決まってるじゃないですか、増えた分は変人を取ることですよ。
 いや、変人はちょっとまずいな。もとい、異能の人をとることですよ。つまり、一芸一分野に優れた人。

 世の中生き抜いていくのに、そんなにたくさんの能力は必要ない。
 一つか二つで十分だ。
 ただ、少なくとも頭一つぐらいは抜きん出ていたほうがいい。
 胸一つ抜ければ大成功、体一つ抜ければ歴史に残る。
 時間は腐るほどあったのだから、何か一つに集中し、もっと磨きをかけておくべきだった。

 これが人生約70年の悔いであり、遅まきながら得た結論である。

 よく文武両道というが、「文70点+武30点=100点」の人と、「文50点+武50点=100点」の人だったら、世の中で成功する確率は前者の方が高い。
 さすがに片一方が0点というのはまずいだろうと思うが、一方が限りなく0点に近くても成功を収めている人は大勢いる。
 だから、そろそろ文武両道なんて言い方はやめにしようぜ。
 少なくとも、それを唯一の理想像とするのはやめだ。

 「〇〇選手はチームの柱ですが、学校でも成績はクラスでトップです」
 って、他のクラスメイトはどんだけ怠けてるんだ。
 「〇〇選手は勉強はからっきしで、どん尻が定位置ですが、チームでは不動のレギュラーです」
 ま、そういうもんだよ。

 学校という狭い世界で実現した文武両道なんて、広い世の中では糞の役にも立たん。
 まあ先生方も、そこは承知で勉強も部活も行事もみんな手を抜くなと言っているんだろうが、そういう中でも頭一つ抜け出すものを見つけてやらんとな。
 文武両道の旗の下、どっちつかずの中途半端な人間を増産してたんじゃ洒落にならん。
 本人のためにも、学校のためにも、社会全体のためにも大きなマイナスだ。

 というような発想もあっていいんじゃないですか、という意味で「変人コース」の設定である。
 イチかバチかの部分もあるが、そういう中から成功者が出れば、学校にドカンと寄付でもしてくれるかもしれない。
 ごくごく平均的な人間は、本人はそれなりに幸せな人生を送れるだろう。
 それはそれで目出度いことだが、学校への見返りはあまり期待できない。

 本日は短くまとめてみた。
 明日はテレビ番組「入試特番」の収録である。