部活動取材シリーズ3校目(最終)は城北埼玉の剣道部だ。
 今夏のインターハイ県予選は惜しくも決勝で敗れ、一昨年以来の全国出場を逃したが埼玉を代表する強豪校の一つだ。

 取材日は「玉竜旗高校剣道大会」が終わってからということで今日になった。
 剣道を知る人にとっては常識らしいが、この大会は、全国選抜大会、インターハイと合わせて高校剣道界の三大大会と言われている。
 他の2大会と異なり完全オープントーナメント、つまり県代表にならなくても一定条件を満たせばどの学校も参加できる。

 勝ち抜きの団体戦のみという試合形式も大会の特徴だ。
 先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5人で臨むが、最初に登場した先鋒が一人で相手を全員負かしてしまうこともある。

 今年は全国から約500校(男子の部)が参加した。
 埼玉からも城北埼玉をはじめ、本庄第一、埼玉栄など12校が参加している。

 城北埼玉は4回戦で、準決勝まで進んだ福岡大大濠に敗れたが、同校にとってのハイライトは3回戦だった。
 相手はインターハイ県大会で敗れた本庄第一。
 今シーズン同校は、春の選抜につながる新人戦、関東大会予選と県内大会では負けなしだったが、唯一の黒星を喫したのが本庄第一だ。
 ここは何としてもリベンジを果たしたい。
 そんな思いで臨んだこの試合、最後は大将同士の決戦となり、見事勝利を収めた。
 「本庄第一さんはインターハイ前の追い込みで疲れもたまっていたんでしょう」と、顧問の那須健司先生は謙遜するが、城北埼玉の実力を示す一戦であった。

◆一日の練習時間は2時間以下
 さて、今日の練習の話である。
 剣道場はさぞ暑いんだろうなと恐れていたが、何と冷房完備。
 保護者の寄付だそうだ。
 私立ではこういうのがある。

 30人もの高校剣士(一貫校なので中学生も数人)が揃うと、それはそれは壮観だ。
 
 練習はこんな感じ。
 

 練習は年中休みなしだそうだが、一日の練習時間は2時間以下と意外に短い。
 練習後は、最終スクールバスまで学校に居残って勉強する生徒も多いとのことだ。
 また、定期考査前10日間は一切練習無し。 
 このあたりが進学校だ。

 道場に予定表が貼ってあった。
 
 ここに、考査前は「猛勉強」という予定が入るようだ。
  

◆将来を担う若き剣豪
 指導(顧問)は3人体制で行われている。
 大ベテランの那須健司先生、学年主任も務める猪鼻健先生、それに若手の貝塚脩悟先生。
 夏休みということもあり、今日は大学生のOBも参加していた。
 
 面をつけていない方がもっとも若い貝塚先生だ。
 生徒だと言われたら信じてしまいそう。
 今風のイケメン男子だが、那須先生曰く「竹刀を持たせたら全国に出るような高校生でも歯が立たない」ほどの剣豪なのだそうだ。
 そろそろ定年が迫って来た那須先生だが、「これで城北埼玉の将来は大丈夫」と目を細める。

 朝8時半からという早い時間帯からの取材だったが、男子高校生らしい気合十分の掛け声と、小気味よい竹刀の響きは今日一日を爽快な気分にさせてくれた。