残り少なくなった人生、せめて休日は頑張らない生活をしたいものだ。
 これは来年の大きな目標になりそうだ。

 では、休日につき軽めの話題を一つ。

 ヤフーニュースにもピックアップされた週刊女性primeの記事。

 NHK『100カメ』で話題になった名門男子校・筑駒の女装コンテストが炎上「女っぽさをバカにしている」SNSアカウントが非公開に

 「筑駒」の通称で知られる筑波大学付属駒場中学高校では、文化祭企画に「ミス筑駒」があるが、これに対し、「女っぽさをバカにしている」など批判の声が上がり、「ミス筑駒」の公式X(旧ツイッター)のアカウントが非公開になり、インスタグラムの投稿はすべて削除された。
 という内容。
 文化祭はすでに終わっており、「ミス筑駒」自体が中止になったわけではない。
 単にSNSが炎上したというだけのつまらん記事だ。
 記事の最後に、担当者に取材を申し込んだが「担当者不在」を繰り返すばかり、とある。
 そりゃあそうだ。
 こんなのにいちいち付き合っていられるか。
 取材拒否されたからといって相手を批判する権利なんてないんだよ。

 女装コンテストというのは男子校あるあるというやつだ。
 昔からあった。
 記事の中に、NHKのドキュメンタリー番組でもステージの様子を取り上げたとあるから、少なくともNHKにはこの企画が問題だという意識はなかったのだろう。
 週刊女性primeの方も、女装コンテストそのものを取り立てて批判的に書いているわけではなく、SNSで炎上したことを主に取り上げている。
 そういう意味で、実にどうでもいい軽い話題なのである。

 だが、SNSで炎上したからといって、学校の伝統的な行事に変更が加えられるような事態となれば、これは大問題だ。
 たとえば県立浦和高校には、「新入生歓迎マラソン」なる伝統行事がある。
 受験勉強で運動不足になっている新入生に、入学早々持久走の洗礼を浴びせるので、はるか昔から「新入生虐待マラソン」などと呼ばれていた。
 「歓マラ」はまだ10キロ程度だが、秋には50キロの強歩もある。
 廃案になった埼玉県虐待禁止条例改正案ならこれらは虐待認定されそうだ。

 学校自らが社会情勢の変化を見極め、教育的判断から行事などの内容を変更したり廃止するのは構わない。
 だが、SNS上で批判されたからとか、炎上したからという理由で内容を変更したり廃止したりするのは、ちょっと違うのではないかと思う。
 
 少し古い資料になるが、総務省のサイトに次のような記事がある。
 情報通信白書の一部である。

 (1)誰が炎上に加わっているのか

 「政治・社会系ニュースへのコメント分析では、過激な言説は1%程度の投稿者が生み出す2割程度のコメントの中に顕著であり、残り99%の投稿者による8割のコメントにはほとんど見られない」
 「『批判されている人を、ネットで批判した』経験がある者は1.1%である」
 「複数回書き込みを行う直接攻撃予備軍をインターネット利用者数の0.5%以下である」
 といった記述がある(かなり省略している)。

 (2)炎上はどのように認知されるのか

 「炎上の確認経路を確認したところ、約半数以上の回答がテレビのバラエティ番組からであった。『テレビのニュース番組』の割合も3割程度と高く、マスメディア経由での認知が多い」
 「マスメディアで報道され広く認知されたものがまたソーシャルメディア上で拡散されるといった『間メディア空間』における相互作用により、炎上は指数関数的に増大していく」
 といった記述もある(々)。

◆炎上が恐くてSNS発信に踏み切れない皆さん
 上記のデータが確かだとすれば、炎上に加担する人は1.1%ときわめて少ないのが実態だ。
 いわゆるノイジー・マイノリティだ。
 (この場合マイノリティは単に数的に少ないという意味である)

 批判を一切受け付けないという態度はまずい。
 通常のコメントの中には傾聴に値するものもある。

 ただ、炎上はこれとは全く別物で、一部の人が作り出している特異な現象である。
 「SNSは炎上が恐い」というが、印象が強いだけで、それほど頻繁に起きているわけではない。
 炎上がニュースになるのは、その希少性ゆえと考えることもできる。