昨日は大きく下がった学校、今日は逆に大きく上がった学校だ。
 第1回進路希望調査の倍率が、前年同期と比べ大きく上昇したのは次の学校だ(普通科)。

 市立川越 +0.84
 杉戸   +0.33
 富士見  +0.26
 蕨    +0.25
 川口北  +0.23
 川口   +0.21
 春日部  +0.19
 所沢西  +0.19

 このほか大宮光陵・外国語コース(+0.30)、越生(+0.32)、児玉(+0.20)、川口市立・スポーツ科学(+0.21)などがあるが、定員40人又は80人と少なく、倍率変動が起きやすいことを考慮し、今回は割愛した。

◆4年ぶり定員割れ回避の杉戸
 杉戸は前年同期の0.84倍から1.17倍と大きく上昇した。
 2017年度 1.16  
 2018   1.08
 2019   0.92
 2020   1.12
 2021   0.97
 2022   0.94
 2023   0.84
 2024   1.17
 第1回調査で定員を超えたのは4年ぶりだ。定員割れ状態からスタートしても最終的にはギリギリで1倍を超えるのがここ数年のパターンだが、3年前は意外に伸びず欠員募集を行った。
 今年は同校としては7年前に記録した1.16倍以来の高倍率となるが、全県普通科平均(1.27倍)を上回ったわけではないので手放しでは喜べない(たぶん、学校としても安堵感と不安感が入り混じった複雑な心境といったところだろう)。

 最終倍率はどうなるか分からないが、第1回調査段階での定員割れ回避という年度当初の目標はとりあえず達成した。
 このブログでも報告したが、私は今年、この学校の職員研修会に呼ばれて行っている。
 埼玉新聞社を通じて依頼があったのは1月終わりか2月初めだったと記憶している。
 当初学校側の希望は、7月後半、夏休みに入ってからだった。そこで私は、「その時期だと今年の募集に関して役に立つ話はできないと思う。来期につながる負け方の話で良ければお引き受けしたい」と答えた。私なりの誠意ある回答だが、こういうトゲのあるモノ言いが人から嫌われるのだ。

 結局、研修会は5月の連休明けに行われた。また、この時期、大手塾から講師を招き「入試情報提供会」と称する受験生対象イベントも実施した。さらに翌6月には塾対象説明会も行った。

 この学校の説明会スケジュールは、「8月・10月・11月・1月・2月(夜間)」の5回となっている。言葉は適切ではないが、最後に何とか帳尻合わせをしようという姿勢が見え見えだ。
 また、県内私立入試直前の1月20日に説明会を実施しようというのも入試市場全体を見ていない証拠だ。と言うか、受験生の立場になっていない。2月2日という設定も意味不明だ。7日が願書提出だというのに。志願先変更狙いか。
 このままであれば、おそらくいつもと同じ数字だったと思うが、今年の杉戸は前述したようにいつもと違った。最初の説明会こそ8月上旬だったが、実質的な募集活動が2~3か月前倒しで実行された。
 昨年同時期に「第一希望杉戸高校」と書いてくれた生徒が233人、それに対し今年は325人と100人近い増加。ここまでは募集活動早期スタートの成果と言っていいだろう。

 杉戸はまた、以前とは比較にならないほど大量に情報発信をしている。
 たとえば、学校ホームページの新着情報発信は、今月(11月)すでに86件に達している。
 新着情報発信が10月で止まっている学校もある中、突出した数字だ。
 公式Instagramや公式Xも積極的に運用している。

◆SNSは現代の口コミ
 すべての学校がSNSを利用すべきだとは思っていないが、人気薄の学校は、要は知名度不足なのである。
 「知られていないのは、存在しないことと同じ
 マーケティングの世界では昔から言われてきたことだ。
 これに対して、ただ有名になっても中身がともなわなければ意味ないじゃないかという反論もある。
 学校に当てはめれば、教育の中身や質を高めるのが第一という考えであるが、これも確かにそのとおり。

 問題はその後で、質の高い良い教育をしていれば自然にそれが広まるという考え方だ。
 そして、そういう人々がよく口にするのが「口コミ」だ。
 だが口コミは強力ではあるが、不確実だ。
 誰から誰に、どう伝わるかが予想できず、コントロールもできない。
 そういうものに学校の将来や生徒の未来を委ねていいのか。

 という話は、いったんおいて。

 ここが大事なところなのだが、「z世代の口コミはSNS」なのである。
 だから口コミ信奉者こそSNSの利用を本気で考えたほうがいいというのが私の言い分だ。

 「z世代はググらない」という話を聞いたことがある。
 我々世代だと何か分からないことがあったり、調べたいことがあったら、迷わずGoogle検索に走るわけだが、Z世代はそれをしないというのだ。
 では、どうする。
 InstagramやX(Twitter)で調べるのだ。
 本当かな。
 そう思って機会がある度に若い人に聞いてみた。
 すると、「普通にやってますよ」という答えが今のところ大勢を占めている。
 ただし、知りたい内容、調べたい内容によるとのこと。
 検索エンジンもちゃんと使っている。状況に応じて生成AIも。
 その上でSNSもということらしい。

 話が徐々に横道にそれたが、杉戸の倍率上昇はSNSと無関係ではなさそうだということだ。

◆地味に上昇、富士見高校
 そもそもどこにあるかが分からない。
 富士見市って、ふじみ野市と違うのか。
 と、地元民以外には正体不明であって、これでは生徒が集まらない。

 富士見高校は1976年(昭和51年)創立で、間もなく50周年を迎える。
 ふじみ野高校に行くと、「富士見と間違えられる」と聞かされ、富士見高校に行くと「ふじみ野と間違えられる」と聞かされる。隣り合った市だから仕方ないかもしれない。
 しかも、ふじみ野高校の最寄り駅は東武東上線「ふじみ野駅」だが、この所在地が富士見市ふじみ野というからややこしい。
 この分かりづらさは合併問題に起因するところが大きいのであるが、今回はそこには触れない。

 通学方法は主に自転車。電車だと東武東上線「志木駅」または「鶴瀬駅」からバス利用となる。間に荒川を挟むが、直線距離でいうと浦和北と案外近い。旧浦和市民の私からすると、志木高校や富士見高校は、川を渡るとすぐそこにある学校。

 で、肝心の倍率だ。
 2017年度 0.72
 2018   0.72
 2019   0.50
 2020   0.59
 2021   0.62
 2022   0.52
 2023   0.43
 2024   0.69

 今回、第1回における上昇率が高いのは、前年同期があまりにも低すぎたためであるが、0.69倍は6年前の0.72倍に次ぐものだ。
 0.69倍から1.0倍まで押し上げるのは極めて困難だが、まったく例がないわけではない。
 少なくとも、ここから下がらないように。そして限りなく1.0倍に近いところまで持って行こう。

 富士見の三大改革。
 1 大学クラスの新設
 2 資格取得の強化
 3 部活の増設

 これでいいと思う。下手に文武両道などと言わず、大学行きたい子は勉強しなさい、社会に出るなら資格取りなさい、部活が好きならそこで頑張りなさい、何なら新しい部活も作ってあげる。とにかく、どこかで頑張りなさい。
 ジャグリング部というのが出来たみたいだ。
 空手部はこれから強くなるかもしれない。空手は埼玉栄、花咲徳栄、栄北と佐藤栄学園勢が圧倒的だが、杉戸などと並び公立勢のトップを目指そう。

 大学進学状況を伝えているのも好印象。
 現在の進学状況
 11月13日現在の大学合格状況を伝えている。
 一般入試でのチャレンジャーが少ない学校は、推薦型の途中経過がそのまま最終結果でもあるわけだが、きちんと報告する姿勢が良い。 

 この後、蕨・川口北・川口の県南勢、それに春日部のことも書くつもりだったが、集中力の限界に達した。明日にしよう。